初めてのワイン蔵見学2 取材報告  (by えつこ)

新潟県上越市   株式会社 岩の原葡萄園

第 3 話

 それは垣根式のぶどう畑にあり、細長く伸びた垣根の上に透明なビニールがかかっていて、まるでかまぼこを乗せたようです。
    
 私は知っています。昨年山梨のワイナリーを取材したときに同じようなものがありました。取材記をお読みいただいた方はおわかりですね。
 これは雨よけの傘、ぶどうの木は乾燥には強く雨には弱いため、日本の梅雨や秋の長雨の気候に対処するための雨よけのカバー。つまりぶどうの木のレインコートです。これで日照を確保しながら、完熟期を迎えたぶどうと木を秋の長雨から防ぐのだそうです。レインカット栽培と呼んでいる方法ですね。
 2年前はこんなのなかったはずですがとあとで担当の方に聞いてみたら、昨年から設置し、徐々にその数を増やしてきています。そして、必要な季節だけの仮設ではなく、通年この形を保ってぶどうの木に少しでも雨が当たらないように、でも通気性を保つように気を使っているとのことだそうです。
 さて、作業場に到着した私たちは受付で登録し、作業の三種の神器というわけではありませんが、収穫に必要な一揃いの道具をお借りしました。
 まず剪定ばさみ、それを腰に着けるベルト、収穫したぶどうを入れるプラスチックのカゴ、そして、注意書きが書かれた紙です。
      
 この収穫・仕込み体験の定員は毎回50名。まだまだ後からぞろぞろとこちらに向かって歩いてくる人がたくさんいますので皆さんおそろいになるまでしばらくお待ち下さいとのこと。
 その時間を利用して注意書きを読んでいました。
 すると、そこに作業服を着た担当の方がこれどうぞと葉っぱが2〜3枚ついたこぶし大の楕円形の実を持ってきてくれました。
 主人が「あけび」ですね。

 ふ〜ん。名前は聞いたことがありましたが、これがそうかとしげしげと眺めていると、主人が中の種のまわりの白いドロドロの所を食べると甘いんだよと教えてくれます。
     
 ではさっそく、いただきま・・アレ?
 食べるって言ってもほとんど種ばかりで食べる所なんてありません。
 主人にそういうと、そうだよ。種ごと白い部分を口の中に入れて種だけを捨てるようにして食べるんだよ。甘いよ。
 ふ〜ん。あ〜、種が邪魔。でもさわやかな優しい甘さを初体験。
 ぶどう畑の周辺にたくさん自生していて、準備の途中でちょっと採ってきたものなのだそうです。
 そうこうしているうちに参加者も集まってきました。
 一般参加が約半分。他は小学生の課外体験のような感じで子供達もたくさん来ています。
     
 そろそろ参加者も集まりましたのでいよいよぶどうの収穫&仕込み体験会の始まりです。まず最初に萩原社長からご挨拶。
     
 この収穫&仕込み体験会は、このワイナリーの年間行事の中でも最も喜びあふれるイベントです。楽しく安全にお楽しみ下さい。
 今日の収穫は川上善兵衛が苦心して開発したマスカットベリーAという品種です。この品種は日本を代表する品種と言っても良く、国産赤ワインの原料として、その8割から9割をまかなっています。また、食用品種全体の生産量の中でも1割を占めるすばらしいぶどうです。と挨拶は続きます。
     …第4話へつづく…

第2話にもどる       第4話にすすむ