最新設備の酒蔵 取材報告  (by えつこ)

新潟県新潟市  高野酒造

第 15 話

 例え、少ない量でも酒蔵が造っている焼酎らしく日本酒の吟醸香がする焼酎にしたいということでこの形式の機械を使っているのだそうです。
 原料は酒粕。なぁ〜んだ、酒粕はお酒の副産物で、たくさんあるじゃないかと思われるでしょう。
 ところが、この焼酎に使用される酒粕は吟醸酒の酒粕だけで造ります。良い香りの出る山田錦や五百万石という高価なお米を高精白して造られた吟醸酒の酒粕です。
 その貴重で少量しかない特別な酒粕だけを使い、増量などのごまかしをしない本当に新鮮な吟醸粕だけから造った焼酎を平成8年から貯蔵熟成させてようやく発売になりました。
 吟醸粕300kgからアルコール度数40度で60リットルしか出来ません。
 それがこのタンクに貯蔵されているいるのだそうです。
    
 それから遊び心でウイスキー樽にも焼酎を貯蔵しているそうです。
 たった1本ですが吟醸香のする焼酎を樽に詰めたらどんなになるか楽しみです。
    
 味見させてはもらえませんでしたが、主人が絶対においしいはずだと太鼓判を押していました。
 さて、これで全ての見学が終了しました。最後に蔵の3階の会議室で利き酒をすることになりました。
 新蔵にある会議室はとてもきれいです。中にはいると窓際にテーブルがあり、5種類のお酒を持ってきてその味をみてみました。
    
 左から吟醸酒の貯蔵中の生原酒が2種類。次がその吟醸酒をろ過したもの。そして、右の2種類が大吟醸の生原酒でした。

 まず左の異なるタンクの吟醸生原酒は左の方が香りが強く、その香りはプリンスメロンの香りが印象的で、真ん中のろ過したお酒はその香りが軽快で甘さを感じバランスのとれたフルーティーな香りに仕上がっていると感じました。
 また、右の異なるタンクの大吟醸生原酒は南国のフルーツのような豊かな香りで、マスクメロン、パイン、紅玉リンゴなどを思わせるオールスターキャストな香り。喉ごしの切れも良く、スーッと流れていく感じがとてもすばらしく思いました。
 そして、最後に先程の焼酎「酔峰」も特別に試飲させてもらいました。
 香りは第一香が原料に由来する吟醸香。第二香が強いアルコールに由来する青リンゴのような芳香。第三香が栗やいもを思わせる柔らかなふくらみを感じさせる香り。
 そして、味わいはやはり長期熟成のためまろやかな味わいで飲み込んだ後、鼻に抜ける香りがリンゴの香りで雑味が残らずキレがよい。
 アルコール度数35度なのでロックまたは水割りがおすすめ。
利き酒が終わって皆でコーヒーを飲みながらお話を伺いました。
    
 地方の一生懸命に頑張っている中小の酒蔵は高くて良いお米を使っていて、大手と差別化しようと頑張っている。ケンベイの話では灘の大手の蔵は、新潟の酒蔵で使うためにお米を精米した、その残りの米の粉を安く買うのだそうです。それを原料に最初から米をドロドロに溶かしてお酒を造るという液化仕込という技術で1週間でお酒を造っている。あれでは米なんか何でもいい。だから純米酒といえども1本800円でもお酒が造れる理由。だから酒粕も出ない。酒というよりは工業製品ですね。お酒は伝統の技術と技で造るもの。日本の文化ですよと言いながら最後は孫と遊ぶご隠居さんという感じで子供の相手をしてくれていました。
今日はどうもありがとうございました。
…第15話おわり…

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