こだわりの酒蔵見学 取材報告2  (by えつこ)

新潟県弥彦村  弥彦酒造

第 5 話

    
 麹菌を振りかけられた蒸し米は機械の端からバケットに移されます。この段階で温度が35℃。
    
 パケットの上には何重にも布が敷いてあり、お米がある程度たまると人の手で布ごと急いで隣の麹室に運ばれていきます。
      
 麹室に運ばれていく間にもその温度は下がりますので、すばやく走って運びます。
 ここで、なぜ人海戦術を使うのかというとエアーシューターという空気の力で蒸し米を運ぶ装置もあるのですが、それを使うと蒸し米が冷えて温度が下がるという事と大量の空気を送るため外部の雑菌が一緒に入る恐れがあるために人の手で運ぶのだそうです。
      
 次は作業現場の隣にある麹室です。前回お伺いしたときは素人がでしゃばって仕込みのご迷惑にならないように入口からちょっとだけ覗かせていただいただけでした。
 この3年の間に私も色々と経験させていただいて、他の蔵でしたが麹室の作業もお手伝いさせていただいたことがあります。その時の事をお話ししたら、それでしたら本当に部外者は中まで入れないのですがすが、今回は特別にということで中まで入らせていただくことができました。

 酒造りにおいて「1麹、2もと(酒母)、3造り」と言われるように麹造りは最も大切で慎重な仕事が要求される部分です。ご厚意に感謝しながら中に入ってみましょう。
 内部は2部屋に分かれていて奥の部屋の方から案内されました。そこには大きな白布を広げた台がありました。
 これが床(とこ)です。そこには先程放冷機で種付けをされた蒸し米が運ばれてきていて布から出されたかたまりのまま置いてありました。この段階でお米の温度は約37〜38℃になっています。
    
 次に、これを崩して平らに広げます。わぁー、おもしろそー、やってみたーい。・・・いいですよ。
 手を入れるとやや暖かいくらいで決して熱くはありません。そして驚いたことに手にくっつかないのです。これが外硬内軟で蒸したお米なのだそうです。
 手を入れると1粒1粒がパラパラとほぐれてきます。でも内部が柔らかいので指で強くつまむとムニュと潰れます。
 他の蔵人は先程の放冷機の所で次の掛米を放冷機にかけているため、そちらの作業が忙しく、しばらく私たちだけで楽しく始めました。
    
 どうですか。一丁前の蔵人に見えませんか?
 途中から蔵人が駆けつけてきてみんなで蒸し米を広げます。
 作業を手伝ってもらって助かります?ホントですか?冗談も飛び出し、楽しくお手伝い?をさせていただきました。そして、あっという間に床一面に蒸し米を広げてしまいました。きれいでしょう。
    
    …第6話につづく…

第4話にもどる        第6話にすすむ