日本のワインのルーツを訊ねて 取材報告 (by えつこ)
山梨県勝沼町 メルシャン勝沼ワイナリー
マンズ勝沼ワイナリー
第 7 話
ここはマンズ勝沼ワイナリーです。メルシャンに続いてワイナリー研修第2弾です。ここの特徴は設備も充実していますがその他に試飲内容が充実しているということで見学させていただくことにしました。 こちらは事前に販売店として見学予約を入れておいたので到着して受付で名前を告げると、早速総務部長の青木さんがお出迎えしてくださってごあいさつさせていただき、若くして有能な女性の日登さんをガイドに付けますので存分に、どこでも見学してくださいとのこと。 もちろん私たち2人のためだけに案内をしてくれます。そして何なりと質問してくださいとのこと。好意的で丁寧な対応に思わず昨日の見学で立ち寄ったところとは大違いと期待に胸が弾む思いがしました。 |
まず最初はレセプションホールでワインの製造工程のスライドを見ます。ホールと言っても客席が100位もあり、ちょっとした映写会が出来そうな設備です。 観客は私たち2人。最前列の中央で真剣に勉強させていただきました。 それでは内容をご紹介しましょう。 まず「良いワインは良いぶどうから」ということで甲府盆地はぶどう栽培に歴史と実績があり、その他に長野に小諸ワイナリーがあって両工場で気候特性にあったぶどうを栽培し、ワインを造っているそうです。 冬はぶどうの木の選定作業。これは必要な枝を残して後は枝を切ることにより、ぶどうの木の大きさ調整したり木を若返らせるのが目的です。 春は芽かき。選定した枝から新しい命が誕生します。 夏は必要な枝だけを残してぶどうの実のなり方を調節します。その後かわいいぶどうの花が一斉に咲き始めます。 そして、秋は収穫です。その日の内にワイナリーに運ばれてワインづくりが始まるのです。 |
続いてワインづくりの説明です。 白ワインは白ワイン用のぶどうをつぶして圧搾機にかけ皮や種を取り除いた果汁で仕込みます。 赤ワインは赤ワイン用のぶどうの枝だけを取り除いて、皮や種ごと仕込みます。 そして、良いワインづくりでは良い酵母を使うことが重要で、特に香り高い白ワインにするには低温で清潔に発酵させ酸化を防ぎ、香りを逃さないようにすることが大切なのです。 さて、白ワインはぶどう果汁に酵母を添加し、その糖分がアルコールと炭酸ガスに分解されながら発酵が進みます。今まで甲州ぶどうからは並級ワインしかできなかったのですが、マンズでは香り豊かな高級ワインが出来るようになったのです。その秘密はマンズワインが開発した低温で発酵をコントロールできるグラス・ライニング・タンクのおかげだそうです。 |
また、赤ワインの場合は発酵が進むにつれてアルコール成分の作用により皮や種から赤い色素やタンニンが造られます。赤ワインが赤くて適当な渋味があるのはこのせいです。 発酵が終了すると遠心分離器と濾過によって酵母を取り除いてきれいに澄んだワインにします。これが新酒(ヌーヴォー)ですが、発酵途中の糖分が残っているいるうちに酵母を除去して発酵を止めると甘口ワインになり、最後まで発酵させると辛口ワインになります。 その後、タンク熟成や樽熟成、ビン熟成をしますが、特に樽熟成はホワイトオークの樽に詰めますが、その木の香りと微妙な風味が加わり、より豊潤な仕上がりとなります。ただし、あまり長く樽貯蔵をすると、木の香りや成分がワインに移るためにビン貯蔵などとバランスを取りながらそのワインに最も適した熟成方法や手段で工夫しているのです。 そして、品質を均一に保ったり、一つ一つの樽の違いなどから生じるばらつきを調整するためにブレンドされ、瓶詰めをして製品となります。 …第8話につづく… |