おしゃれな欧風ワイン蔵 取材報告  (by えつこ)

新潟県巻町  カーブドッチ ワイナリ

第 9 話

赤ワインはあらかじめ撹拌タンクで10日間ほど発酵していますので、こちらの発酵タンクに移ってからの発酵期間は短いですが、白ワインはこの発酵タンクの中で発酵を始めますのでその期間は発酵温度などの違いにより約2〜3週間かかります。日本酒のように回数を分けて仕込むのではなく1回でするそうです。
発酵の最中には炭酸ガスが発生します。このような密閉タンクの場合、外気と内部は完全に遮断された状態です。しかし、発生した炭酸ガスを外に逃がさなければなりません。そこでタンクの上部に小さな曲がったガラス管が付いていて、そのU字形に曲がった部分に水を入れ、その水を蓋として外気と遮断します。
   
内からはその水を通して炭酸ガスを逃がすことができ、外からは水が雑菌の侵入を防ぐことができます。
ちょうど手洗いの下に付いている配水管がU字形になっていますが形も理屈も同じ事ですね。
さて、次にとんでもないご好意を受けることになりました。何と発酵途中のタンクから赤ちゃんワインをグラスに注いで飲ませてもらっちゃったのです。
     
タンク下部のちょうど胸の高さにあるバルブからクラスにワインを注ぎます。水圧のせいで勢いよくワインがほとばしり出ます。グラスの中はワインが3分の1。残りは泡でいっぱいになります。でも、すぐに泡が消えてワインだけになります。決してビールの泡のようになかなか消えない泡ではなくスーッと泡が下がります。ちょうどサイダーの泡が消えるような感じです。

ちなみにビールの泡がなかなか消えないのは、ビールの中に入っているホップのせいです。ホップはビールに苦味をつけると共に泡持ちを良くする成分があり、そのためビールの泡はなかなか消えません。あの泡はビールを外気に触れないように保護し、おいしく飲むために必要な物なのです。またホップには利尿効果のある成分も含まれていて、そのせいでトイレが近くなるのだそうです。
さて、話は戻りますがタンクから直接注いでもらった赤ちゃんワインはドイツで主に使われているミュラートゥルガウという葡萄の品種で、発酵開始から4日目の最も盛んに発酵をしている状態です。香りは葡萄のジュース、味は葡萄のジュースに炭酸が入っている感じ。少しアルコール分を感じる程度で、まだジュースから少し進んだような感じでした。
続いてこれもドイツで主に使われている品種のケルナーという葡萄から作られたワイン。これは、ほとんど発酵が終了しかけている状態で、それでもタンクからグラスに注ぐときに勢いがよいせいか、グラスの中に泡が立ちます。
しばらく泡が沈むのを待って、これも味見。炭酸の感じも収まってきて少し舌にぴりぴり感はありますがもうほとんど新鮮なワイン。白ワインということもありとてもおいしくいただきました。
続いて3番目は赤ワインのカベルネソーヴィニヨン。これはフランスワインの代表的な葡萄で主にボルドー地方の赤ワインに使われます。このワインは発酵終了から1カ月位経った状態で、炭酸ガスの感じはほとんどありません。これは後はビン詰めを待っている状態だそうで、「濾過はまだしていないので雑味はありますが、なかなかいけるのではないかと思う自信作です。」と中沢さんが言っていました。
たしかにタンクから注いだワインは全て濁っていて、浮遊物があります。この「オリ」というにごりを後で濾過して透き通ったワインにするのですが、発酵タンクから直接味見をしてみることなど、まず出来ないことだと思いますので、貴重な機会だと思い、勧められるままに味見をさせていただきました。「うーん。このワインは、まだ青臭い香りかな」?

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