おしゃれな欧風ワイン蔵 取材報告  (by えつこ)

新潟県巻町  カーブドッチ ワイナリ

第 10 話

どうもカベルネソーヴィニヨンの若いワインは渋味が細いように感じます。
    
そんな感想を話していると、それではこれはどうですかと隣のタンクから注いでくれたのは同じくフランスの、今度はブルゴーニュ地方で主に使われているピノ・ノワールという品種で造られた赤ワイン。こちらは優しい感じがして、さすがワインの女王と例えられる地区の葡萄だなと思いました。
最後に白ワインでバッカスという品種の味見をさせていただきました。
これは一口飲んだら香りも味もマスカット。おいし〜い。実はこのバッカスという葡萄を使ったワインはマスカットの香りが命。香りの弱いバッカスワインは価値がないと言われるくらいなのです。それではそのための秘密をご紹介しましょう。
こちらのワイナリーではヨーロッパ式のワインの造り方を実践しています。あちらでは香りを大切にする白ワインには「スウィートリザーブ製法」といってワインをビン詰めする前に、その葡萄から採った果汁を少量混ぜることにより香りを引き立たせる方法です。
実は工場の中にある扉で気にかかっていたところがあるのですが、その扉の向こうに秘密が隠されていたのです。
   
部屋の内部温度を示すモニターが1度と表示しています。この部屋の中にその果汁が保存されていたのです。
   

この果汁は「マスト」を濾過器で濾し、マイクロフィルターで葡萄に付着しているわずかな酵母などまで除去し、100%無菌果汁にします。これをいわゆる氷温のような温度で貯蔵し、同じ「マスト」から出来たワインが発酵を終わるのを待って、瓶詰めされる直前に約3〜5%程度混ぜるのだそうです。すると香りの良い飲みやすいワインになるのだそうです。
この方法はヨーロッパでは一般的に用いられている方法ですが、日本でキチンとその方法を踏襲し、まじめに造っているところは少ないということです。ちなみに、このワイナリーではケルナー、ミュラートゥルガウ、バッカスなどにこの方法が用いられるそうです。
フーン。これで納得。お昼のランチで飲んだグラスワイン。赤はカベルネソーヴィニヨン、白はミュラートゥルガウだったのですが、この白ワインがとても香りが良く、おいしくいただいたのでした。このせいだったのですね。
それでは製造工程に戻ります。
発酵タンクの中のワインはオリが混ざっていて濁っています。
発酵が終了し、しばらくそのままにしておくとオリがタンクの下の方に沈み、上澄みとオリに分かれます。次はその上澄みを濾過し、澄んだきれいなワインにするのです。そこで次に登場するのが濾過器。
   
これがまず第一回目に使う濾過器です。
   
濾過器には四角い薄い箱が串刺しになっているように見えます。この薄い箱の1つ1つに濾過布が貼り付けてあって、そこに上澄みを通すことでまず第一回目の濾過をします。
    …第11話につづく…

第9話にもどる        第11話にすすむ