おしゃれな欧風ワイン蔵 取材報告 (by えつこ)
新潟県巻町 カーブドッチ ワイナリー
第 12 話
続いて先ほどのスウィートリザーブを氷温貯蔵している部屋の前にも何か機械があります。名前が書いてありました。サーマルクリーンチラ。 この機械はワインの中にある酒石酸という結晶質の物質を除去する装置だそうです。ワインの中にはどうしても、その酒石酸という物質が出来ます。特に白ワインではコンディションによってビンの中にキラキラと光を反射して見える細かな結晶が入っていることがあります。ヨーロッパ人の感覚では当たり前で、飲んでも無害ですが、見た目には不純物に見えるので除去するのですが、この機械で一晩、ワインの温度を1度位に下げ、酒石酸を結晶にして取り除くのだそうです。 さて、このような工程を経てワインが完成します。この後、ビン詰めをして出荷されることになります。 |
しかし、その前にワインによっては熟成させる物もあります。 この発酵タンクがある部屋の隣に会社設立当時から使われている樽貯蔵庫があります。 この樽の材質は樫の木(ホワイトオーク)で出来ていて、ウイスキーの貯蔵にも使われる物と同じだそうです。1樽の容量は225リットル。1樽でワインのビンにして約300本分くらい入るそうです。 通常、樽貯蔵する場合は第一回目の濾過をしたワインを樽に入れ、半年から1年樽で貯蔵し、その後再度濾過をして瓶詰めするそうです。 |
樽の中央が赤くなっていますが、これはワインの品質を確かめたり、入れ替えをするのだそうですが、その時にこぼれた赤ワインの色がついてしまうようです。 この貯蔵庫に入ってきたときに気が付いたのですが床が水で濡れています。壁の上部から水がポトリポトリと垂れています。これはどうしたのですか?と訪ねると、地下水をこのようにドリップみたいに垂らしているのです。と説明されました。 これは昨年長野の業者が良い物だと勧めてくれたので設置したのだそうです。 |
よく見ると中心に給水管が通っていてその回りに金属製の目の粗い網が何重にも巻かれているようです。 この網から水がしたたり落ちているのです。これは貯蔵庫の中の湿度を調整し、常に高湿度の状態を保つための装置ということになるようです。 そういえば地下室に入ってきた時のような空気の湿り気を感じます。ワインの貯蔵に湿度は欠かせない要因ですよね。 この貯蔵庫の温度調整は機械的に空調機械でおこない、地下水のパイプで加湿をすることになるわけです。 しかし、実際には建物の構造で断熱性が良く、この新しく取り付けた給水管が井戸水のせいで冷却管の働きもするようで、空調機の稼働も少なくなったようです。さて、次の扉を開けると地下に降りる階段がありました。いよいよ新しくできた地下貯蔵庫に降りていきます。 …第13話につづく… |