第7話
仲見世通りを進んでいくと、どうしても目に付くのは食べ物やさんです。特に私たち食いしん坊夫婦の場合、ついつい立ち止まってしまうのです。 何か香ばしいにおいがするなと思ったら、ここは手焼きせんべい屋さん。見事な手さばきで網の上のおせんべいをクリクリとかえしながら焼いています。炭火ならではの絶妙な焼き色。もちろん私は買うための列に並んでいます。 香ばしく焼き上がったおせんべいをお醤油にサッとくぐらせて、紙に包んで渡してくれます。1枚100円。焼きたてアツアツをほおばると、チョット濡れ煎餅のような食感で、濃いお醤油の味が口いっぱいに広がります。バリバリと食べながら進むと、今度はどこからか甘い匂いがしてきました。長蛇の列の向こう側から、シャーシャーという音。 |
何だろうと近づいてみると、そこは揚げ饅頭屋さんでした。甘い匂いと、油のこうばしい香りが、何とも言えません。そそられるな〜!でもお昼ご飯まで後少ししかありません。涙をのんで、列に並ぶのは諦めました。 私たちは浅草寺を目指して先を急いでいたのですが、またしても何処からともなく甘い匂いがして来るではないですか。それも先程のとはチョット違い、卵たっぷりのカステラを焼いているような匂いなのです。吸い寄せられるように私たちはその香りのする方へ近づいてみました。するとそこでは人形焼きの実演を行っていました。いかにもこの道何十年といった風情の職人さんが、慣れた手つきで一つ一つあんこを詰めながら焼いているのです。ウ〜ン…焼きたてを食べたい気持ちを抑えて、先を急ぎます。 |
数ある誘惑を乗り越えてようやくやって参りました。せっかく浅草まで来て、浅草寺を参らなかったとあっては、大変です。まるでお祭りのようなにぎわいの中を本堂へ向かって進みます。 「左手に見えますのが五重塔でございます。」ここではやっぱり、この五重塔ポーズで〜す! 本堂脇で手と口をしっかりと清めてから、お参りに向かいます。先程のおせんべいで、喉が乾いていたので少しだけゴクリ。本当は飲んじゃいけないんだよね。 周りには、鳩の大群が行ったり来たりと、忙しく飛び回っていました。頭のすぐ上を飛び回っているので、フンでも落ちてこないかと少し心配しながら進みます。 |
本堂前のお線香が焚かれているところでは、ありがたいお線香の煙を頂いて、大きなおなかをスリスリ。「元気な赤ちゃんが産まれますように」とお願いしました。私の前にいた子どもたちは「頭が良くなりますように」と一生懸命頭を撫でていましたが、私の固くなった頭ではもう無理!おなかだけにしておきました。 そして、やっと本来の目的の本堂でお参りができました。たった○○円で、こんなにお願い事をしてもいいのかな? それでは、次の集合場所、本日第2の視察場所へ向かいます。 …第8話へ つづく… |