第8話

 草寺をあとにした私たちは、本日第2の視察場所へ向けて出発したのですが、道すがら、本当は寄り道したいな〜という場所でついつい立ち止まってしまうのです。まずは、浅草今半本店。「ここのすき焼きは美味しいよね」ちょうどお昼時、準備が整ったらしく、のれんを出しているところです。時間が無いから先を急がなくちゃ。
次に足を止めたのは、『神谷バー』なんでも日本で一番古いバー。1912年(明治45年)、屋号にバーという文字を用いた日本で最初のお店と言うことで、雑誌に載っていました。ブランデーをベースにジンやカクテルと合わせた名物「デンキブラン」は舌にビリッとくる刺激を、創業当時まだ珍しかった「電気」を名前に使ったというからびっくりです。ただ外から見る限りでは、古びた食堂かな?と言う感じでした。中に入ってられなくて残念。
そんなことより集合時間が迫っています。浅草の町から隅田川に架かる吾妻橋を渡ると私たちの目指すビルが見えてきます。ご存知の方も多いと思いますが、アサヒビールの本社ビルです。決して“う○こ”ビルではありません。向かって右側のビルの上のオブジェは炎をイメージしており、左側のビルはビアジョッキ。外壁はビール色、天辺にはビールの泡がのっかているという懲りようです。何とバブリーなビルなのでしょう。ホラホラ、記念撮影などしている時間は無いはずだよ!
 12時ジャスト。集合場所であるアサヒビール本社ビルの正面玄関に滑り込みセーフ。いつもぎりぎりに動いてしまう私たちはここでもやはり最後でした。今回の研修旅行の全員で行動する最終行程がここです。ここで、何を視察するのでしょう。アレアレ…?何か様子が変だぞ。正面玄関を入ると、中はなぜか薄暗く、鎖で通路が遮られているではないですか。唯一行けるのは、展望フロアーへの直通エレベーターのみ!「さあ、行きましょう」と言われても、エッどこへ?


 うなのです。実は、本日は日曜日。アサヒビールさんは完全休業日で、何も見学することができないとのことで、お食事だけをセッティングして下さっていたのです。…と言うことで、私たち一行は最終視察場所と言いつつも、食事のために最上階のイタリアンレストラン“ラ・ラナリータ”へ直行したのです。
こちらのレストランは、先程吾妻橋から見たときのビアジョッキ型のビルの最上階。つまり、ビールの泡の部分にあるのです。壁一面がガラス張りになっており、眼下には隅田川やその両岸に広がる町並みが一望できるナイスビュウーポイントです。
 まずは、敬意を表してアサヒビールで乾杯!真っ昼間から乾杯かと思われるかもしれませんが、つづけてお読みの方ならお解りでしょう。昨晩のあの飲みっぷり。おいしい物を食べる時にはアルコールは欠かせないものとばかり、またしても始まっちゃいました。
生ビール、地ビールとつづき、やっぱりイタリアンなんだからワインにしましょうと言うことで、赤・白2本のボトルをオーダーしました。
赤ワインは『マルゴー・1999』マルゴー村産ワインで、繊細でまろやかな味が楽しめます。というのがうたい文句だったのですが、そこは酒屋の青年部。みんなでグラスをグルグル、クンクン、ジロジロ、そしてジュルジュル!昨晩の利き酒に引き続き、利きワイン?みんなが好きなことを言い始めます。「フルーティーな香り」「チョコレートのニュアンスを感じる」「色はきれいなガーネットカラーだね」「複雑味がない」「コクがない」「アルコール度数が低く感じられる」等々、ウーン手厳しい。
 つづいて白ワインは『シャブリ・プレミエ・クリュ・コート・ド・レシェ・1999』こちらのうたい文句は、美しい緑がかった黄金色と繊細な味わいが魅力。と言うことなのですが、それぞれの感想は「洗練されたさっぱりとした味わい」「スッキリ感がある」「樽香を強く感じる」等々、比較的好評でした。
 さあ、次は食べ物偏です。ぺロン!
        …第9話につづく…

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