初めてのワイン蔵見学 取材報告  (by えつこ)

新潟県上越市   株式会社 岩の原葡萄園

第 7 話

 どう棚の内部に入ってみました。びっしりと大きなぶどうの葉でおおわれたぶどう棚の中は、直射日光が遮られるために薄暗くて、少しヒンヤリします。この畑は10月下旬の収穫予定ということでしたが、ぶどうの一房一房は重そうなほど実がたっぷりと付いています。ただ、このマスカットベリーAは収穫までにもっと実が真っ黒にならなければだめなのだそうです。また、ぶどうの実の品質を高めるために、一枝に一房の実しかならないように手をいれるのだそうです。
   
どうですか?両手に余るほど、たわわに実ったマスカットベリーAの房です。私の手を添えてその大きさをお見せしたかったのですが、棚の高さが2m以上もあり、とっても手が届きません。あ〜残念。何が残念かって?皆さんが期待しているのはここで私がその一房をもぎ取って食べてみることを期待していたのではないでしょうか。そうなんです。今思うと何でこれを試食して実はこんなでしたと報告しなかったのか私にはそれが残念。
 通常は人が立って手が届く高さに棚はあるのが普通ですがここは脚立を持ってこないと手が届かないのです。まるで私に食べられないようにと高くしてあるみたいに感じましたが、実は本当の理由は高い方が風通しが良く、湿気をこもりにくくするためなのだそうです。

て、今度は葡萄園中央の畑を後にして、また車で最も高いところにある高台へと向かいました。そこにも垣根式の畑が連なっています。垣根式のぶどう棚はヨーロッパでは主流ですが日本の湿気の多い風土ではあまり適していませんでした。棚の下の方は湿度が高くなりやすく、また狸などの野禽類がその実を食べてしまうからです。
 しかし、近年ぶどうの木の品種改良も進みGDC(ジェノバ・ダブル・カーテン)方式といって実がぶどうの木の上部になるように改良されてから、ようやく日本でもこの方式が普及してくるようになってきたのだそうです。本来垣根式の方がぶどうの木にまんべんなく日光が当たり果実の糖度が増すなどワインづくりにはこの方が良いのだそうです。
   
   
ぶどうの木はちょうど人間の人生に例えられ、20才から40才くらいが働き盛り。ぶどうの木もそれくらいの年齢のぶどうがワインづくりには最も良いとされています。
   
この写真のような5年未満のぶどうの木は幼稚園児と同じ。2年目からぶどうの実を付けますが決してワインづくりの主役にはなれません。あと2〜30年して立派な大人として見られるのを楽しみに、数十年先の夢を思い描きながら毎年ぶどうの木の手入れをしているのだろうと思いました。
    …第8話につづく…

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