初めてのワイン蔵見学 取材報告  (by えつこ)

新潟県上越市   株式会社 岩の原葡萄園

第 6 話

 号蔵裏手に回ると地下深くに降りるための階段があります。そこには「冷気隧道」と書かれた看板があり、結構地下深くまでその階段は続いています。
   
戻ってくるときに登るのが大変だなと思いながら下りていくと、それはありました。
    
 「冷気隧道(れいきずいどう)」とは地下に掘られた細いトンネルのことで冷えた空気が通るトンネルのことだったのです。
    
 憶えていますか?前出の第二号石蔵は雪室(ゆきむろ)を使い、雪の冷気で石蔵の中の温度調節などをおこなったのに対して、第一号石蔵は冷たい湧き水の力を使って、石蔵内を低温に保ったのだそうです。
 ここは近年、土木作業中に偶然発見されたもので、あわてて古い文献を調べたところその記述が改めて確認されたのだそうです。
    
 山の地中深く水の湧いている場所から地下の一号石蔵まで細いトンネルを40mも手で掘り進んでつないでいるのです。そこまでするのかと思わず唸らせるほどの善兵衛のワインづくりにかける執念を見たような気がしました。

 気隧道跡から少し車で移動すると、広大なぶどう畑が広がります。こちらの葡萄園にはおよそ10h(ヘクタール)のぶどう畑があるのだそうです。
   
ちょうど収穫期。品種・畑によって多少摘み取るタイミングは違うようですが、この辺は本当に収穫間近ということで、木にはたくさんの実を付けていました。
 ぶどう畑には、2通りあり1つには一般的に巨峰などのぶどう狩りで、目にすることの多い形で、ぶどうのツルが天井をおおい屋根のようになっている『棚式』と、もう1つには『垣根式』と言って、庭の垣根のように一枚の壁のように、もしくは一枚のカーテンのようになるようにツルを巻き付けていく形があるのだそうです。
こちらがその垣根式の畑です。
現在こちらの岩の原葡萄園では、畑全体の4割がこの垣根式の畑で、残り6割が棚式の畑なのだそうです。
先ほどの畑のすぐ隣には、棚式の畑がありました。
   

この棚式のぶどう畑は前の看板にもあるように、「特別栽培農作物生産圃場」いわゆる有機肥料栽培を実践している畑なのだそうです。
ここでは『EMぼかし』という有用微生物群を有機肥料として使用しているということです。そして、栽培品種はマスカットベリーA。川上品種の中でも赤ワインに最も適しているというマスカットベリーAは、こちらで栽培している全品種のうちの7割をも占めているのだそうです。では、ぶどう棚の内部に入って見ましょう。
      …第7話へつづく…

第5話にもどる       第7話にすすむ