初めてのワイン蔵見学2 取材報告  (by えつこ)

新潟県上越市   株式会社 岩の原葡萄園

第 11 話

 そして現在では、150ヘクタールの日本最大の自家葡萄園「サントリー山梨ワイナリー」としてぶどうの栽培から瓶詰めまでを一貫して行い、多くの川上品種が栽培されています。昭和50年(1975年)には日本の気候風土では不可能とされていた幻の「貴腐ぶどう」を収穫、日本のぶどう栽培技術のひとつの頂点を示しました。
 そして現在ではワインは日本人の食卓に欠かせないものになっています。
 岩の原葡萄園、山梨ワイナリー、そして全国の葡萄園で、川上善兵衛のワインづくりにかけた情熱は今も息づいているといえるでしょう。
 パネルによる説明は以上です。
その他に展示品がありましたのでご紹介します。
    
     ぶどうの葉の標本
     (マスカットベリーA)
    
       交配記録帳
    
  男人夫日勤表(賃金台帳)と
  古いワイン(リースリング他)
    
       葡萄全書
     上編 栽培法
     中編 種類各論
     下編 醸造法
 以上が主な展示品です。
 私たちがいた時間は長くはありませんがその間、訪れる人はなく少々寂しい気がしました。郷土の偉人、近代日本幕開けの時代に出現した志あふれる人、川上善兵衛。その人となりを偲びつつ資料館を後にしました。
 さて、私たちはまた、イベント会場に戻ります。一応、ワインショップのチェックをしておかなければなりません。
 ワインショップ入口の横では山の幸染め体験コーナーがありました。それを横目にショップに入ってみます。
 相変わらずの賑わいです。

 入口横の有料試飲ワインのリストをチェック。すると一番上にグラス1杯400円のワイン。ヴィンテージワインが試飲できます。
 これは試しておかなければなりません。さっそく注文。
 そのワインはしっかりした濃い黒紫色。アロマはマスカットベリーA特有の甘い果実味を感じさせる幅の広い豊かな香り。ブーケはしっかりと樽貯蔵されているけれど決して強すぎず深遠で澄んだ熟成香。味わいはしっかりしたタンニンにインパクトがあり、豊かでバランスのとれた広がる味わいが決して重くなく、後味もきれいなすばらしいワインでした。
 思わず主人と「良いね」。
      
 価格は4010円だそうです。
ちょうどそこに営業の鋤柄さんが来られて、このヴィンテージ2001もよいワインでしょう?
しかし、実はヴィンテージ2000の方がもっと良かったのです。本当はその上のクラスの限定品「ザ善兵衛」にするかどうか迷ったくらいなんです。でもトップの判断でヴィンテージとして販売したのです。でも完売してしまったんですよ。とのこと。
 今年は冷夏のためぶどうの糖度が上がらず途中で3割ほどぶどうを間引きして収量を落としてでも残ったぶどうに栄養分を行き渡らせ、糖度を上げようとしたのですが残念ながら例年のようにはいきませんでした。
 ですから2003年のヴィンテージは発売できるかどうか判らないうことだそうです。
 メイン会場ではまだたくさんの人が楽しんでいる様子です。

 善兵衛と親交の深かった人が彼の身になって、その生涯をこう言い表しました。
 生きて葡丁となり、死して葡肥となるはわが分際なり。と 
    …第11話完結…

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