初めての酒造り体験 取材報告  (by えつこ)

新潟県長岡市  葛g乃川

第 1 話

 3月11日。火曜日。今日は平日で、普通ですと家でお仕事の日なのですが、「極上吉乃川」のブランドで有名な酒蔵「吉乃川株式会社」に「1日酒造り体験」に参加してきました。
 話の発端は極上吉乃川を取り扱っている酒販店を対象に酒蔵見学会があったのですが、都合が悪く残念ながら参加できなかったため、非常に惜しいチャンスを逃がしたなぁと思っていたところ、その後に吉乃川の営業をしている平沢さんからお話がありまして、何と酒造りに参加して実際に体験することができる「1日酒造り体験」の企画があるとお伺いし、どこへでも行って、何にでも顔を出してみたい私たちは即座に「行きます。」と返事をしてしまいました。主人も色々酒蔵見学は行ったことがあるが、実際に参加して体験できる機会は滅多にない良い機会だからと夫婦で参加させてもらうことにしました。
 長岡市は三条市から約20km離れた場所で、車で約40分くらいかかります。当日は3月だというのに、冬に逆戻りしたような寒い1日となりました。
 長岡市でも摂田屋という場所は長岡市の郊外に位置し、小千谷市にほど近い田園地帯にあります。
 もともと信濃川の恵みを受けて土地の豊かな場所で、もう少し南に行くと美味しいお米で有名な魚沼が近く、また、東は東山という丘陵地があり、その先は越後山脈に連なる山々が間近にある、そんな場所です。
 皆さん、摂田屋という地名を聞いてアレ?以前に聞いたことがあるような地名だなぁと思われた人がいられるかも知れません。そうです。「おいしいしょうゆ蔵見学記」に出てきた「越のむらさき」が同じ摂田屋という場所にありましたね。思い出して頂けましたでしょうか?
 そこでも書きましたように、この場所は地下水が豊富で、水質も良く、古くから醸造業が盛んだった土地なのです。
 さて、目的の「吉乃川」さんは、たしかその「越のむらさき」の隣と聞いていましたので、迷うことなく近くまで行きますと、看板が見えてきました。
 「越のむらさき」さんの会社の正面から、ちょうどその奥に見えます。

 さて、正面はドンと「越のむらさき」さんの建物がふさぐように建っていますので少し先まで行って、左へ曲がるとありました。高い塀を過ぎると工場の入口です。
集合場所は敷地内にある「瓢亭(ひさごてい)」というゲストハウスのはずですが、どのように行ったらよいかわかりません。
 私たちは工場入口の案内板を見つけ、駐車場に車を止めて歩いて行くことにしました。
    
この酒蔵は歴史も古く、敷地も広く、初めて訪ねてきた私にとって何処に連れて行かれるやら、キョロキョロしながら案内されるまま、ついていきました。途中には鉄筋建ての大きな建物や、はたまた木造の古〜い建物がいくつもありました。
 アレ?敷地を通り抜け、狭い道に出てしまいました。ウーン。この道はいつか来た道、ア〜ァ、と歌っている場合ではありません。もしかしてこの道は以前、「越のむらさき」さんにお伺いしたときに敷地内を通っている、あの旧・三国街道のような気がして訪ねてみますとピンポ〜ン。大正解。別名殿様街道と呼ばれた旧・三国街道だったのです。つまり本当に「越のむらさき」さんと隣り合わせ。旧街道に隣り合ってその敷地が隣接している場所だったのです。昨年の「越のむらさき」さんの視察におじゃましたときに、ほんの数メートルも歩けばここに来ていたということになるのです。まったく知らなかった私は何とも意外な展開にキツネにつままれたような、不思議な感慨を憶えたのでした。あの時は「越のむらさき」さんの古い建物とそして人のあたたかさに最後はノスタルジックな気分で遠い昔へ思いを馳せていた自分を思い起こし、今、また、別の理由で同じ場所に来ているという、何とも不思議で突然の出会いにビックリしたような気分になってしまいました。

     …第2話につづく…

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