初めてのウイスキー蒸留所 報告記  (by えつこ)

山梨県白州町  サントリー白州蒸留所

第 4 話

 示室1は秋期特別展示をやっていて、テーマは「和歌のかたち−雅な遊び−」と題して重要文化財の佐竹本三十六歌仙絵断簡をメインに屏風や蒔絵硯箱、墨蹟そして茶道具などの工芸品も充実していて国宝の茶碗などが展示されています。
    
 国宝 白楽茶碗 「不二山」 本阿弥光悦作
 この茶碗は釉薬に灰がかかり、偶然にできた模様だそうです。また、指の跡が茶碗に残っているのが特徴とか。作るときのへらの跡が残っているのが趣があるとか。フーンと感心しながら見ていると後ろから主人が「これのどこがいいのかね?普通なら指跡なんか残さないようにするのが当たり前。へらの跡なんかあったらまだ未完成品じゃないの。これ位なら俺でもちょっとやればできそうじゃないの。」と、ふざけて言っていました。でも一瞬、それも言えるかも。と思った私でした。見学時間5分。     
 一応、教養のための美術館見学も済み、湖畔の道路を戻ろうとすると「間欠泉」の看板。そう言えばここ諏訪湖は「間欠泉」が噴出するのです。すぐ近くだったのでついでに見学することにしました。
 「間欠泉」とは温泉が、ある一定の間隔で噴水のように吹き上がる現象のことで、この諏訪湖の間欠泉は約1時間ごとに最大50mの高さまで吹き上がるのだそうです。空高くまで吹き上がるその規模は、アメリカのイエローストーン公園に次ぎ世界2位の規模で、1回の噴出で120℃のお湯が約700Lも噴出するのだそうです。この「間欠泉」は昭和58年6月2日に噴出が始まったそうです。
 そして、その「間欠泉」を囲むように諏訪湖間欠泉センターという温泉施設があります。1階には泡風呂、ジェット風呂、屋外温泉プールなど8つの温泉があり、水着着用で家族みんなで目の前の間欠泉を見ながら楽しめる施設なのだそうです。
 時間のない私たち。とても次の噴出まで待つことはできません。

 残念ながら温泉をあきらめ、まわりをキョロキョロ。するとそのすぐ脇で人が並んで腰掛けている所があります。諏訪湖のすぐ湖畔にあるそこは、みんな両足裸足で足をお湯につけています。ここは「足湯」という公営の無料で利用できる温泉設備なのです。諏訪湖温泉のお湯を水路に流し、その水路に沿って作られたベンチに腰掛けて大勢の人たちが両足をそのお湯につけて足湯を楽しんでいます。雄大な諏訪湖を目の前にして自然がとてもすてきな場所です。温かいお湯が気持ちをゆったりさせてくれます。こういう温泉の楽しみ方もあるのねぇと感心しちゃいました。足だけ温泉気分で本当の温泉は今晩までおあずけです。
   
 そんなこんなで、とんだ道草をしてしまいました。先を急がなくてはなりません。なぜって、もうお昼なのです。
食いしん坊の私たちは旅行の計画を立てるときに、どこに行くかよりも何を食べたいかで行程が決まります。今回のお昼は以前TVで紹介されていたこだわりのそば屋さんに行くことに決めていたのです。そこは山梨県の長坂にある「翁」という手打ちそば屋さんです。青春芸術村にほど近いそこは山梨県内でも有数のそばの名店と言われています。
 メニューは洗練された味のざると、粗めに挽いたソバ粉を使う田舎そば各840円のみ。
 ここのご主人は以前東京でお店を出していたけれど、ソバの実の保存や製粉のための場所と、良質な水を求めてこの地に移ってきたということです。全国各地から選りすぐったソバの実を石臼で挽いたそば粉をブレンドして使っているのだそうです。
 途中、知らない土地を正確な地図もなく、山道を探しながら間違った道で迷ったり。ようやくのことで「翁」に到着。すんなり駐車場に車を入れて玄関に行くと「臨時休業」の看板。何とその日は店内改修のため臨時休業していたのです。ガーーーーン。
     …第5話につづく…

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