初めてのウイスキー蒸留所 報告記  (by えつこ)

山梨県白州町  サントリー白州蒸留所

第 12 話

 階から上には、らせん階段で上がります。多分2階分くらいの高さを上がると最上階の展望台にたどり着きます。この場所は標高712m。眼下の森には点々と並ぶウイスキー貯蔵庫の屋根とバードサンクチュアリーが広がっています。
 そして西には南アルプスの雄峰、甲斐駒ヶ岳。全国に24座あるとされている駒ヶ岳の中でも最も高く標高は2967m。花崗岩の巨大なかたまりで山肌は白く荒々しく見えます。
 また、東側は遠くに八ヶ岳連峰が見えます。
   
 主峰は標高2899mの赤岳。その裾野には避暑地で知られている蓼科、清里などの高原が広がっています。鳥のさえずりが爽やかに聞こえてきます。しばらく景色に見とれて、まったりとしてしまいました。
 そろそろ、お日様もかたむきはじめ、高原に西日が降り注いでいます。これで今日の研修予定は終了です。後は温泉に泊まります。
 片時も手からメモ帳を離さずしっかりと握っていたその手は心なしか、しっとりと汗ばんでいるようにも感じます。今日はご苦労様。また、あしたとバックにしまいました。
 そして、博物館から出てくるとまだセミナールームには大勢の人がテイスティングをしています。しばらく見ていると時々ほんのり赤い顔をしながらマヒしかけた感覚を取り戻すためでしょうか、ほとんど会話もなく外に出てきて休憩をしています。たばこを1本吸うか吸わないか位の時間でまた部屋の中に戻っていきます。そばに旅行社の旗を持った人がいます。これは全くの私の想像ですが、たぶんこれは旅行社が企画したツアーで、自分で好みのウイスキーをブレンドして造って、マイ・ウイスキーとか言って持って帰ることができるような企画ではないでしょうか。皆さん真剣そのもの。私はこんなのと一緒でなくて良かったと密かに思ってしまいました。

 さて、今日のお泊まりは東京方面に向かって70kmくらい離れた大月市郊外の真木温泉です。ここは渓谷に添ってたたずむ一軒宿。設備の充実した巨大温泉も良いけれど、たまには部屋数が少なく、ゆっくりした気分になれて、お料理がおいしいくて、料金も内容のわりにはあまり高くないところがいいなと探したところ、この温泉に決まったのです。
 この真木温泉は部屋数16室で全室露天風呂付きの部屋です。その他部屋風呂の場所はイオンサウナになっていてエアーマッサージチェアも完備しています。
 私たちは宿について、さっそく大浴場に行き、そこにもある露天風呂も入り、夕食のためにお食事処に行きました。
 そこは全て「いろり」になっていて次から次へと懐石のお料理が運ばれてきます。どこの温泉に行ってもありがちなワンパターンの決まりきった宴会料理ではなく、ひとつひとつが板前さんの手間と愛情とその地域の特色ある素材。そして、全体的に私好みの薄味とだしの良さ。
目でも楽しめるきれいさとどれを食べても確かな技術を感じさせてくれるおいしいお料理で大満足でした。
 夕食後一休みした後、今度は貸し切り家族露天風呂に入ってみました。このお風呂も無料です。そして、最後にお部屋の露天風呂に入りました。ここのお湯は無色透明でにおいもありません。なんとここの温泉は飲める温泉、おいしい水としてミネラルウォーターとしても市販されているのです。水質は天然アルカリイオン水で、そのイオンが直接肌から吸収されると新陳代謝を活発にして素肌を美しく保つうえに、飲めば健康維持に最適な水として評判なのだそうです。
 おいしいものさえ食べれば大〜満足の私。今日は1日お疲れさまでした。
以上で「初めてのウイスキー蒸留所取材報告」完結です。続いて2日目の行程は「日本のワインのルーツを訊ねて取材報告」と題して連載予定です。
読んでくださいね。    第12話完。

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