初めての酒蔵見学 取材報告 第4話 【by Etuko】
栃尾市 越銘醸株式会社
これが昔ながらの槽型圧搾機(ふねがたあっさくき)です。槽型の入れ物にもろみを入れた酒袋を敷き詰めて、万力のような物で上から押し、原酒を搾ります。 搾ると言ってもぎゅうぎゅうと搾るわけではないのです。最初は上から圧をかける前に酒袋の中のもろみがそれ自体の重さでお酒だけ槽口(ふなぐち)からほとばしり出ます。 これを「しずく酒」「荒走り」と呼び、一昔前なら蔵人しか味わえなかったであろう生まれたてのお酒なのだそうです。 この搾りでは、もろみの6割が酒粕に、残りの4割しかお酒として取り出せません。 |
搾ったお酒は、槽口(ふなぐち)無濾過生原酒として、手桶で少しずつ受けて熟成用の大型のガラス瓶に移していました。 何とラッキーなことにこの時搾っていたのは大吟醸酒だったのです。 杜氏の山崎さん自ら、ふなぐちから出ているお酒をくみ取って、私たちに試飲をさせてくださいました。 その香りは、果物のようなフルーティーで豊かな香り。味はフレッシュで爽やか。きれいで力強い旨味。今までの日本酒では味わった事のないような感動的なものでした。 |
「原酒だから強いよ」と言われているにもかかわらず、あまりのおいしさに、ついつい口から離せなくなっていた私の後ろにあったのが、通常の搾りで使う藪田式圧搾機です。 この圧搾機は、白い部分が一枚一枚搾り袋となっていて、その中にもろみを流し込み、圧力をかける事により、原酒を搾り出す機械です。この日は残念ながら動いていませんでした。 |
右:杜氏の山崎さん 左:専務の浅野さん |
ところが、1時間くらいたってからもう一度その2種類を飲み比べてみると、Bの方が最初と全く変わり、香りが立ち、全体がとてもやさしくまろやかになっていたのです。おそらく室温によって、お酒の温度がかわったためだと言うことですが、あらためてお酒の繊細さを感じさせられました。 ここではその後、日本酒度計やアルコール度計、タンクの中の残量を調べるものさしなど、珍しい物を色々見せていただきました。 蔵の中はキーンと冷えた空気と、蔵人達の心地よい緊張感に包まれていましたが、それとは対照的に会議室の中はスチームがきいていてぽかぽかと暖かく、たくさん試飲をさせていただいた私は、ほろ酔い気分。とてもいい気持ちになってしまいました。でも一番赤い顔をしていたのはお酒を飲めない杜氏の山崎さんでした。この業界の人は、みんなお酒が強いと思っていたら、飲めない人でも杜氏さんをやっていられるなんて、ちょっと驚き。 |
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最後に、杜氏さんのお話を聞きながら、4種類のお酒のきき酒をさせていただきました。 大吟醸2種類、純米吟醸、本醸造、それぞれのしぼりたて生原酒で、どれもとっても個性的で、おいしかったです。 ただ、びっくりしたことがありました。2種類の大吟醸酒のうち、Aは非常に香りが良く、まとまった感じがしたのに対して、BはAほどは香りの立ちが無く、何か無表情な感じを受けたのです。 |
いらっしゃいませ。栃尾の名物「あぶらあげ」はいかがですか。 そうです。越銘醸のある栃尾市はあぶらあげが名物です。蔵見学の帰りに、おいしいあぶらげやさんがあるということで寄ってみました。 お店の人に無理を言って店頭でたくさんのあぶらあげと共にハイ・ポーズ。決して売り子ではありませんのでおまちがいの無いように・・・ |
そして、おみやげの他にその場で揚げたてのアツアツを食べてきました。 大きさの割には軽くてふわふわとした感じでアッという間に食べてしまいました。 大満足のこの笑顔。 食べているときが一番いい笑顔だねとみんなに言われます。 これで無事初めての蔵見学の終了です。越銘醸の皆さん。 ありがとうございました。 |