初めての酒蔵見学 取材報告2    【by Etuko】

栃尾市 越銘醸株式会社

第 12 話

 さて、蔵見学の話に戻りましょう。
 ここでは今年、3つのタンクで大吟醸酒を造ったそうです。それでは広々としていてほとんど何も置いていない1号蔵の2階を麹室と反対側に歩いていきましょう。
    
 ちょうど麹室と反対側にそれはありました。
    
 正面の緑色の小さなタンクがそれです。容量は2100リットルの酒蔵にしてはとても小さなタンクです。そうですね。高さは180cmくらいでしょうか。ちょうど主人の身長くらいです。
 まずはじめに見たのが仕込み17号タンクと書いてあるものでした。
    
 タンクの胴体にぶら下げられたビニール袋に雪が入っていました。
 タンクの胴体に雪を抱かせてあると言うことはもろみの温度を下げようとしている状態です。
 まず杜氏がハシゴを2〜3段登って、カバーをずらしてタンクの中を覗き込みました。
    
 これが仕込み開始から25日たった大吟醸酒の「もろみ」です。どうぞご覧下さいとハシゴをゆずって下さいました。
 早速、ハシゴを登ってみました。
    
 もろみの表面はどうか、香りはどうか、注意深く観察します。
    

 仕込み25日というのはさすがに大吟醸とはいえども、発酵の最終段階です。泡の動きもなく静かです。香りは明らかにバナナを思わせる濃純な香りがすばらしいです。思わずよだれが出そうになりました。
 そしてすぐ近くにあるもう一つの大吟醸酒のタンクも見せてもらいました。
    
 こちらは仕込み開始から27日たったもろみです。タンクの胴体に保温シートが巻かれています。こちらは温度が下がらないように気を使っている状態ですね。それでは失礼して覗かせて頂きましょう。
    
 こちらも発酵の最終段階です。泡の動きもなく静かです。香りはパイナップルを思わせる少し酸味のあるフルーティーな甘さを感じるすばらしい香りです。
    
 見た目はほとんど変わりません。何か違いがありますかと伺ったところ、使っている酵母が9号のものと10号のものの違いだけだと言うことです。それ以外は企業秘密のようで詳しく聞くことが出来ませんでした。
 ふと、他の仕込みタンクは皆1階にあるのに、何故この大吟醸酒の2つのタンクだけがポツンとここにあるのですかと質問しました。
 ここでは昔ながらの方法でタンクの温度を下げるときにタンクの回りに雪を抱かせます。ここが豪雪地で2階から楽に雪が取れるから不自由はしないからですよと答えてくれました。
 確かに蔵の端からすぐに外に出られて大屋根から降ろした雪が2階の窓の高さまで来ています。
     
    …第13話につづく…

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