最新設備の酒蔵 取材報告  (by えつこ)

新潟県新潟市  高野酒造

第 13 話

 続いて留仕込みから3日目のタンクです。
    
 所々に大きな泡の盛り上がりが見えてきました。その泡が少しずつまわりに流れていくようです。この辺の状態ではニオイもほとんどありません。
 この後、ドンドンと発酵が進み5日目くらいから本格的な泡のピークが訪れ、緻密でソフトクリームのような泡が5〜7日間発生し続けます。この時、泡がタンクからあふれてしまわないようにタンクの内部のプロペラで泡を消すのです。
 この頃のもろみは香りも甘く、果実香を伴います。そして、アルコールのニオイがしてきて炭酸ガスのツンとする刺激が鼻をくすぐります。
 花にも見頃があるように、泡も見頃とでもいいましょうか、この頃が最もおいしそうなんですよ。
 思わずよだれが出てきそうになります。誰ですか?また、食べ物の方に気が散っている言っている人は?
 本当の事ですから許してあげます。さて、発酵は進み、留仕込みから8日目のタンクです。
    
 今までのクリーム色をしたソフトクリームのように緻密だった泡が、綿あめのように大粒で軽い泡になっているようです。
 時々ポコッと大きな泡が上がってきて、そのつど泡全体が揺れるように動きます。
 泡の高さも前日に比べて少し低くなってきたようです。
 次はその翌日の留仕込みから9日目のタンクです。
    
 前日より更に泡が低くなっています。タンク内の温度も留仕込み終了後から徐々に上昇してそろそろピークに近づく頃です。

 次は留仕込から10日目のタンクです。
    
 更に泡が小さくなってシャボン玉状の泡が見えます。この頃が発酵のピークです。温度も最高温度でこのままこの状態を維持します。
 ここまででちょうど半分の道のりを来たところです。あと数日で泡も次第に消えていき、もろみの表面が見えるようになります。
 こうなってくるとそろそろ発酵も最終段階です。杜氏もソワソワしてきてお酒の成分を気にするようになります。
 アルコール度数はどうか。日本酒度はどうか。酸度はどうかなどと搾るタイミングを探り始めます。
 最終的にもろみの味をみて杜氏のかけ声一つ。搾る日を決定するのだそうです。今年の仕込は全部で60本するそうです。
仕込み室の見学も終わり、完成したもろみは、以前に紹介した藪田式搾り機や槽式搾り機で搾ります。
 搾られたお酒はろ過器に通してきれいにします。私たちは再び1階に降りてきてろ過器を見せてもらいました。
    
 ろ紙フィルターを何枚も重ねたろ過器を通して出来たお酒が「生酒」ということになります。
 この後火入れの工程に移ります。
 火入れは日本酒にとって有害な微生物を殺すと共にお酒の中に残ってまだ生きている麹や酵素を破壊して保存性を高めるために行います。
 これがその最新式の機械でマルサ式プレートヒーターという名前です。
    
    …第14話につづく…

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