最新設備の酒蔵 取材報告  (by えつこ)

新潟県新潟市  高野酒造

第 12 話

 続いて仕込み開始から10日目と11目のタンクを覗いてみました。
    
 手前が仕込んでから10日目、奥が11日目のタンクです。
 酒母の発酵期間は大体12日ですので、もうほとんど発酵は最終段階です。
 泡のまわりを見てもらうとタンクの縁にも泡がついているのがわかりますか?ここで使っている自製S3酵母は発酵途中にたくさん泡が出ます。ですから発酵のピーク時にはタンクの縁を越えるほど泡が盛り上がります。
 ですから下の写真のようにピーク時にはタンクの上に更に透明な筒を取り付けて泡がこぼれないようにします。
    
 そして、泡が静まってくるとその筒をはずすのです。
 完成した「酒母」はこの後、本格的な仕込を行う大型のタンクに移されます。
 先にご紹介した銀色ピカピカの仕込みタンクに「酒母」を移し、そこにお米を硬めに蒸して麹菌を付着させた掛け米と水を加えて仕込み開始です。
 この1回目の仕込を「添(そえ)仕込」といいます。ここでようやく「酒母」の中で、例えていうと濃縮状態になっていた酵母に栄養源となるご飯の元が入ってきたことになります。ご飯は麹菌の力で糖に変えられ、その糖を酵母が食べてアルコールを造り出すのですが、最初は麹菌の働き具合に合わせるかのように酵母もゆっくり活動します。
 ですから「添仕込」の翌日はお休み。でもタンクの中では麹菌と酵母が一生懸命に働いています。
 3日目は「仲仕込」といい、1回目の「添仕込」と同様に掛け米と水を加えます。
 そして、4日目は「留(とめ)仕込」といって3度目の掛け米と水を加えます。
 ですからこの仕込み方法を3段仕込みと呼びます。

 さて、仕込の作業はこれでおしまい。後は温度に注意して予定通りの発酵が進むのを見守ります。
 私たちは仕込みタンクの上の階にやって来ました。床にマンホールのフタのようなものが所々に見えますね。
 これらが先程の仕込みタンクの上の口の部分です。
    
 蔵人は通常の仕込み中はほとんど温度を中心に気をつけながら発酵の様子を見守りますが、その他にもタンクの泡にも注目して観察します。
 足の下には10000リットルのタンクが18本もあります。あまり大型のタンクでは満タンでも3メートルも下に発酵面があるので覗いてもよく見えません。このくらいのタンクの方がすぐ足の下に泡があるような高さです。観察するのにちょうど良い大きさに感じました。
 それではいくつかタンクの中の様子をご紹介しましょう。
 パンパカバーン。本日のハイライト?ちょっと古かった?
 それでは気を取り直してご紹介しましょう。まず最初は仕込み開始から5日目。つまり留仕込の翌日のタンクの中です。
    
 まだ、お米だけという感じにしか見えません。水はどこに入っているのでしょうか。実はこの状態というのは内部での発酵が初期段階で、お米が十分にそのまま残っている状態です。ですから発酵によって生じる炭酸ガスの力でお米が盛り上がっているのです。
 続いてその翌日、留仕込みから2日目のタンクです。
    
 所々、お米の盛り上がり方にムラが出て、炭酸ガスが表面に抜けて出てくるようになりました。まるでカニの泡のようです。

    …第13話につづく…

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