第3話

ホテルでのワインの第一次試飲会を終えたパパ、ママ、執事たち一行は、次は本番の夕食兼試飲会にお出かけの様子です。外は真っ暗。いくら昼間はお天気が良く、暖かくてもさすがに夜は冷えてきます。僕はまたマイチェアーに乗せられて、あやしげなネオン瞬く夜の町に連れ出されたのです。
そして着いたところは『酉の市』という居酒屋さんのようです。
まずここで記念撮影です。寒いけど、執事パパがカメラを構えて「ケイタ笑って!」な〜んて言ってるからしょうがない
       ハイポーズ。
ところが中に入ってみると満席。30分くらい待たなければダメらしいんだって。エー、どーしてくれるんだよ。僕はお腹が空いてくると機嫌が悪くなるんだ。午後のお昼寝も新幹線の中でチョッピリだけだったからとっても眠いし、それなのに、こんな風のピューピュー吹き付ける所でじっとしていられないよ。
すると、僕を乗せたマイチェアーは突然また動き出したかと思うと、車の激しく通る道路を渡り、向かいの喫茶店へ入って行くではありませんか。
中にはいるとそこは別世界のように明るくて、暖かくて・・・
  ポカポカしてきて・・・
    ・・・・・・・・・・・・・グーグー
僕はそこでものすごい睡魔におそわれて、マイチェアーに乗ったまま眠ってしまったのでした。あとで乳母ママに聞いてわかったのですが、喫茶店に入った直後に眠ってしまった僕は、そこで夕食とミルクを飲ませてもらうはずだったのに、ほっぺたをつつかれようと、スプーンを口に突っ込まれようと、あげくには、洋式便座の上でオムツを替えられようと、まったく目を開けることなく爆睡していたのだそうです。僕がそんなだったので、乳母ママたちはコーヒーだけを飲んで前の居酒屋さんの待ち時間を過ごしたんだって、ご苦労さん。乳母ママたちは時間を見計らって喫茶店から外に出ると、また冷たい風がピューピュー。シャキーン。
     復活ーーー。


居酒屋さんに戻ると先発隊の3人は席に着いたようですが他の3人の席が空くのにもう少し時間がかかるようです。僕はそこの居酒屋さんの待合い席で、持参してきた夕食とミルクを飲み、それからようやく席に案内されたのでした。そこは何やら薄暗い地下の一番奥の板の間でした。
そこでは先発隊がすでに飲み食いを始めていました。焼き鳥、鳥の軟骨唐揚げ、黒豚の西京ミソ焼き、地鳥手羽先の唐揚げ、黒豚角煮の残骸がありました。
そこで執事パパたちは負けじとカニクリームコロッケ、トマトとモッツアレラチーズ、牛すじの辛煮込み、エビとエリンギの中華炒めとドンドンお料理を注文します。
その様子を黙ってみているわけにはいきません。少しは僕のことも面倒見てよ。乳母ママ。
お料理の注文が済むとと同時に今日の研修?のメインとなる日本酒が運ばれてきました。それでは順に試飲の感想をご紹介しましょう。お断りしておきますがこれはあくまで執事たちの主観並びに個人的な感想でして、決して批評するつもりはありません。その辺の所はわかってやってください。
それでは始めます。
 1.黒龍(本醸造)
飲み飽きしない普通のお酒。コクがある。味がある。おだやかで香り控えめ。
 2.磯自慢(純米吟醸)
落ち着いた吟醸香が良い。滑らかでおいしい。香りが良いが少し重い感じ。たくさんは飲めない。
 3.呉春(特吟)
おだやかな吟醸香。甘味を感じるが上品な後味で切れがよい。柔らかくまろやかで飲みやすい。きれい。
 4.十四代(中取り純米無濾過)
香り立つ。独特の香り。純米というよりは吟醸系の香り。エステル臭。べたべたする感じ。
 5.南部美人(純米吟醸生詰原酒)
甘い、コクがある。味が強い。香りがはなやか。あとで辛さを感じる。
     …第4話へつづく…

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