こだわりの酒蔵見学 取材報告2  (by えつこ)

新潟県弥彦村  弥彦酒造

第 11 話

 次は瓶詰めされたお酒にラベルを貼る工程です。工程?工程と呼ぶにはなんとこの小さな鉄の機械?が1台。あまりにも古典的とでも言いましょうか。瓶が流れていくコンベアーは?・・・ありません。普通は瓶は立ったまま流れ作業でラベルが貼られるあの機械は?・・・ありません。
 ここでは1本1本、人の手でガシャン、ガシャンと機械?に押しつけてラベルを貼ります。
      
 でも、面白そうです。
 やり方を教えてもらって私も挑戦。まずレバーを1回動かしてラベルの裏にのり付けをします。次は瓶の正面をキチンと合わせて手でガシャンと強く押します。そして瓶を取り出すと上下の2カ所に同時にラベルが貼られていました。簡単そうです。それでは私もやってみます。
 まずレバーを動かし、のり付けですね。
       
 のりがたくさん付きすぎてラベルが2枚取れてしまいました。
 次は瓶の正面を合わせて押し込みます。
       
 ウーン、ウーン、一生懸命に押しますがガシャンと入ってくれません。
 残念ながらここではお手伝いになりませんでした。誰ですか?これじゃー邪魔しただけなんて言っているのは。
 でも、まったくその通り。あの時の主人の目の冷たかったこと。
 まぁ、それはさておいて。これで一連の蔵見学も終了です。
 着替えのために戻ります。

 着替えを済ませた私たちは事務所に戻って杜氏さんからお話しをお伺いしました。
    
 今回初めてお目にかかった村田杜氏です。この方も物腰の穏やかな方で優しく教えてくださいました。
 まず、お酒の香りについてお伺いしたところ、さっそく資料をコピーしてくださって詳しい説明です。
 お酒の香りは大きく分けて最初に嗅ぐ「上立ち香」と口の中で広がる「含み香」の2種類あります。
 最初の「上立ち香」はどちらかと言えば軽く、酢酸エチルや酢酸イソブチルなどのエステル(簡単に言うとアルコール化合物)が多いとメロンやバナナの様な香りに感じるようです。
 また、「含み香」はどちらかというと重く、ふくらみのある香りでカプロン酸エチルなどのエステルがが多いとリンゴの様な香りに感じるようです。
 ただしその他にもお酒の中にはたくさんの種類のアルコールやエステル、酸などが含まれていて、それらが複雑に影響しあって香りと味を造り出しています。
 当社で使用している酵母の大部分は新潟の醸造試験場で開発されたG9酵母を使っています。
 このG9酵母は新潟県内限定で使用できる酵母で、香りのバランスが良く酸が少なく、発酵力が旺盛な非常に優秀な酵母です。そしてカプロン酸が多く出るため超軟水の仕込み水と高度な精米によってきれいな味が乗る、雑味のない甘さと美味さ、そして酸の抜けが良いお酒ということになります。
 弥彦酒造の酒質設計ではこの酵母が最も合っているのではないかということで使用しています。
 また、当社ではお酒のスペックは全てお知らせしています。
 ここの蔵人達は手間をかけることが好きで、そうすることにより更に良いお酒ができると確信しています。ですからもっともっと多くの方に日本酒の良さを知ってもらうためにオープンにしているのです。

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