日本のワインのルーツを訊ねて 取材報告  (by えつこ)

山梨県勝沼町  メルシャン勝沼ワイナリー
        マンズ勝沼ワイナリー

第 10 話

 ここは、瓶詰め工場です。いろんな機械が所狭しと並んでいます。
   
 ラインにワインの空瓶が並んでいるのが見えますか?今はちょうどお昼の休憩時間でラインは止まっていましたが、これが動き始めるとものすごいスピードで流れ始め、その速さは1分間で200本。1時間で12,000〜13,000本の瓶詰め能力があるのだそうです。
   
 そして、そのラインはビンの大きさによって分けられていて通常のフルボトル以下のビンは、このラインで稼働し、それ以上の一升瓶やマグナムサイズ、業務用サイズなどの大型ビンは奥のラインで瓶詰めされるそうです。
 瓶詰めされたワインはスクリューキャップやコルク栓をされて検ビン器を通過します。そこではビンの中にコルク栓のかけらがないか、ビンに傷はないかまた、ワインの容量は適切かと検査するそうです。この作業はどんなに機械化が進んだ今でも人間の目に頼らざるを得ず、検査員は目の疲労を防ぐために1時間ごとに交代するそうです。
 ひととおり瓶詰め工程の説明をしてもらい、工場を出る前にブドウの木のパネルがあったので「これは何ですか?」と質問したら、「これは当社が開発したブドウの木に雨が当たらないように木に被せるカバーの写真です。」
    
 ぶどうの木は乾燥には強く雨には弱いのです。そこで日本の気候に合わせて雨よけのカバーを開発したのです。パテントを取って販売もしています。」とのこと。そこまで愛情込めて丁寧にブドウに気を配っているのかと感心してしまいました。

 瓶詰め工場を出て、構内を歩いているときに、ここマンズワイナリーにはすばらしい技術者がいるという説明がありました。
 フランスの“ワイン醸造士国家資格”と“利き酒適性資格”の2つを取得した日本人4人のうち2人はマンズワインの社員だそうです。主にその人達がワインの命であるぶどうを国内、海外を問わず実際に立ち会って、厳しく選別してワインづくりに使い、ぶどうのポテンシャルを最大限に引き出す。それを可能にしているのが国内屈指のマンズの人的資源と言うことです。
 そんな説明を受けながら歩いていくと、またタンクが並んでいる場所に来ました。奥の断熱シートで被われているのが冷却タンク。その手前がブレンドタンクで容量は325.653リットルだそうです。
   
 この冷却タンクではワインを半日程度冷却しマイナス1〜2℃で凍る寸前まで冷やします。水ですと凍ってしまいますが、ワインは糖分やその他の中身成分によって凍りませんが、そうすることにより澱や澱として出やすい成分を凝結させて取り除くことが出来るのです。
 私はこの時すでにはもう完全に方向音痴。どこから歩いてきたのやらどこがどうなっているのかさっぱりわかりません。ただ私はついていくだけ。
 次は資料展示ホールです。
   
 これが先ほどパネルにあったぶどうの木のレインコートです。垣根式のブドウの木の上に透明なビニール製のカバーが取り付けてあります。これで日照を確保しながら、完熟期を迎えたぶどうと木を秋の長雨から防ぐのだそうです。レインカット栽培と呼んでいるのだそうです。
    …第11話につづく…

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