日本のワインのルーツを訊ねて 取材報告  (by えつこ)

山梨県勝沼町  メルシャン勝沼ワイナリー
        マンズ勝沼ワイナリー

第 11 話

 れが圧搾機の模型です。
   
 横長の筒状の構造で鉄の枠の内側に木の板が隙間を空けて円筒状に並んでいます。この筒の横からちょうど注射器のピストンのように円盤状のふたを押し込むことによりぶどうがつぶれて板の隙間から果汁が流れ出てくる仕組みになっています。
 縦型と横型の違いはありますが先ほどの日本最初のワイン醸造資料館で見た圧搾機と原理はまったく同じ。
 明治時代に初めて日本からワイン製造技術の伝習に行った2人の日本人が学び、書き写してきた圧搾機の画を思い出します。
 時代はこんなに機械化が進み、技術も進歩しているのに、ほとんどあの頃と変わらない構造です。
 日本の清酒の製造技術が数百年前に確立したことを考えるともっともなことなのですね。
 次はコルク栓の原料となるコルク樫の原木が輪切りの状態で展示してありました。
     
 コルク樫を輪切りにして見ると、外側の樹皮の部分がコルク栓として使われる部分で、厚さ5センチ位もあります。コルク樫は約300年も生長し、その間に何度も厚くなった樹皮をはがしてコルク製品に利用できるのだそうです。ちょうど羊の毛を刈ってもまた生えてきて元に戻るように、コルクも何回も樹皮をはいでも利用できるのだそうです。
 しかし、何と言っても自然素材のために世界的なワイン需要とコルク資源の減少、また、コルクの自然素材がゆえの“かびる”などの性質上、一部の海外や国産の早飲みタイプのワインではスクリューキャップが使われるようになってきたそうです。

 これが、コルク樹皮を切り出したものです。
   
 コルク樹皮はコルク栓の長さの短冊状にカットされて後は栓の形に打ち抜くのだそうです。主な輸入先はポルトガルが80%、その他スペインやアルジェリアなど地中海沿岸の国から取り寄せているそうです。ここマンズワインでもコルク樫の木を育ててみたのですが気候が寒くて大きな木には育たないそうです。
 次は地下へ降りて貯蔵庫の見学です。そこは薄暗いコンクリートの倉庫です。
   
 大きさの揃った新しそうな樽が並んでいます。長期熟成用の赤ワインで1〜2年、白ワインで半年〜1年くらいの間このようなホワイトオークの樽で熟成させます。容量は228リットル。
 ウイスキーの熟成で使われる樽と同じで、その内側を焦がしてから使用することによりワイン貯蔵中の酸化を防ぎ、また、風味にも影響を及ぼすことになるそうです。
 昨日のウイスキー工場にあったものと同じような樽で熟成をさせるのですがワインはそれに比べて期間が短いために回転が速く、それほど膨大な量の樽は必要ないのだそうです。
   
 また、ワインはデリケートなために樽の新旧や使用年数、樽内部の焦がし具合に応じて細やかな気配りをしなければならないそうです。

    …第12話につづく…

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