日本のワインのルーツを訊ねて 取材報告  (by えつこ)

山梨県勝沼町  メルシャン勝沼ワイナリー
        マンズ勝沼ワイナリー

第 12 話

 この地下貯蔵庫の内部は年間を通して温度が15〜18℃に設定されています。
    
 また、ここの樽はフランス・ブルゴーニュから輸入したもので、上の方に“N”“M”“T”などの記号が打ってあり、フランスのどの地方の樽なのかまた、内部の焦がし具合はどうなのかがそれを見ればわかるような記号なのだそうです。
 そして大きな番号は樽ナンバー。その下には樽の容量が正確かどうか、また、貯蔵容器として税務署に登録した検定日が書いてあります。お酒の製造工場では製造容器や貯蔵容器は税務署に登録して、正確なお酒の製造量を検査することにより製造者に対して酒税を課します。蔵元はその酒税を製品に乗せて生産者価格で販売することになるのです。
 そして、消費者は酒税が含まれているお酒を買うときに、消費税という税金を払いますが、これは当然酒税に対しても消費税を払っていることになるのです。他にもガソリンなどいろいろあるそうですが、つまり二重課税なのです。私は消費税導入当時、このような状況について知りませんでしたがこの業界に入って教えてもらい、どれほどこのことに憤慨したものか思い出してきました。
 話が脱線してしまいました。地下貯蔵庫の続きです。ワインは適度な樽熟成を経て、後はブレンドにより品質の安定と均質化を果たし、その後はビンで貯蔵熟成します。これは必要以上に樽の成分がワインに移らないようにするためです。真っ暗な地下室の中でカーゴに分類されて出荷時期が来るのを静かに待つのです。
   

 階段を上るとそこは試飲コーナーを併設した売店です。
   
 ここではワインに関連したおみやげやぶどう関連のグッズや商品が売っています。でも何よりも試飲することが出来るワインが充実しているのです。その理由のために今日はこちらにおじゃましたのです。試飲カウンターは充分な長さとその後ろに試飲用の冷蔵庫が扉をそろえて並んでいます。また、その他にもホールの大部分に樽型のテーブルがありそこにも試飲用のワインが出してあります。ザッと見ても50や100もありそうなくらい、いろいろなワインが並んでいました。
   
 試飲させていただいたワインの一部を写真でご紹介しましょう。残念ながらその時の試飲メモを紛失してしまったため時間が経過した今は思い出すことは出来ませんが、まずこのワイナリーでしか販売していない限定ワインも充実していて、比較的リーズナブルなものから内容の充実したものまで何種類もありました。
 しかし何より印象深かったことは、昔呑んでみてあまり重要視していなかった甲州ぶどうを使ったワインが、これほど個性的で品質が充実していて驚いたことでした。
 特に白ワインの古酒などはバナナともバニラとも感じられる強烈な香りと味のハーモニーは今まで味わったことのない感動を覚えました。
   
 たくさんの試飲で時間が経つのを忘れていましたが、もうお昼の時間はとっくに過ぎています。次のコーナーでは、念願のバーベキューを食べに行きます。
    …第13話につづく…

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