文 えつこ
【 第 14 話 】
こんな食べ方があったのね「すっぽん」。
さて、皆さんどんな、お料理が出てきたか早く聞きたいでしょう? ではさっそくご紹介しましょう。 まず、最初はお通しから。お通しは3点の口取りで季節感ある新鮮な材料。どれもとてもおいしく・・・ えっ?そんなことより早く「すっぽん」に行けって?そうですね。 え〜最初は何と行っても生き血ですね。これはとても精がつき、元気が出るので疲れている私たちにはぴったり。でも本当は少し生臭いはずなのでおそるおそる口を付けてみました。ところが全然生臭くなく一口でスッと飲むことができました。ご主人のお話によるとスイートワインで割ってあるとのこと。新潟では日本酒で割ることが多いため、どうしても生臭さが消えず、ちょっと抵抗があったのですがこれなら大丈夫。やはりご主人の経験から来る感性はスゴイと、思わずうなずいてしまいました。 次はまだピクピク動いている生の心臓と肝。これも一匹に1つずつしかなく小指の先くらいの小さな部分。肝は咬むと苦いのでお醤油を付けて、咬まずにゴックン。これも滋養があるんですって。 |
次に出てきたのがお肉の刺身と卵。 「すっぽん」には、ほとんどお肉が付いていません。でもそのわずかなお肉を上手にお刺身にしてくれて、ショウガ醤油でいただきました。全然臭みもなく「馬刺し」か「鹿刺し」を食べているような感じです。(例えが馬鹿みたい?)そして卵はとてもきれいな黄色でちょうど大豆のような大きさのものを20個くらい生でいただきました。コクのあるおいしさが口の中に広がります。 続いて、レバーをスライスして軽く塩・コショーで味を付け、サッと火を通したもの。これも絶品。口の中でとろりと、とろけるような食感がたまらないおいしさです。次はいよいよメインのお鍋です。ふつう「すっぽん鍋」というとお醤油味が定番ですが、ここはみそ味です。そして他では鍋から頭やつま先が出てきた時などギョッとするものですが、ここではちゃんとそんなグロテスクな部分は入れないように気を配ってあります。 フツフツと弱火で煮えるお鍋を見ると気持ちが穏やかになっていくのはやはり日本人でしょうか。もうこの辺になると昼間の疲れも消え、気持ちにもゆとりと落ち着きを取り戻せてきたようです。 |
えっ?気持ちが穏やかになってきたのはお腹がふくらんできたせいだろうって?いえいえまだまだ大丈夫。「すっぽん」はゼラチン質が多く、美肌の基本であるコラーゲンがたっぷり。プルンプルンした食感がとってもおいしいです。うふ、これで私も明日はすべすべお肌のしっとり美人・・・? 大きなお鍋も2人で完食。残ったスープはご飯を入れて「おじや」にします。 たっぷりの「おじや」。2人でお茶碗3杯ずつ食べましたが、残念ながらさすがに少しだけ残してしまいました。う〜ん、満腹。残してゴメンナサイ。 一匹の「すっぽん」でも、こんなにいろいろな部分を素材に合わせた調理法でおいしく食べさせてくれて、さすが大阪。新潟だったら良くても生き血と刺身と後は全て鍋。こんなにめずらしい食べ方は初体験。おいしいお料理に大満足。ごちそうさまでした。 幸せな気分にひたっていると、ご主人が、「次、行きましょう」と声をかけてくれました。はるばる新潟から出てきて、初めての大阪。せっかく訪ねてきてくれたので、右も左もわからない私たちをどこかに連れて行ってくれるとのこと。 お会計を済ませ、ご主人とタクシーで北新地へ。ここは東京の銀座と比較される高級飲食店街。高いビルとネオンのあふれる街並み。一つのビルに数十個の看板。 |
ご主人が「ここが新地で一番おいしいたこ焼きやさんで、だしと醤油で味が付いているからソースをかけてないんだよ」と言って、そのたこ焼きを買って下さいました。 そして、一軒のクラブに作務衣のままスッと入って行くではありませんか。お店の名前は「アト ヒョウタンジマ」。 そうなんです。ご主人の奥様がやっているお店だったのです。そこで奥様にもご挨拶させていただきまして、心地よくゆったりとした気持ちで時間を過ごさせていただきました。私たちのような「おのぼりさん」は絶対にこのような繁華街のお店にフリーで入ることなどできない所ですが、ご主人に連れて行っていただいて、地元の方々といろいろなお話をさせていただいたり、大阪の人たちの人情を教えてもらったり、ご主人にお世話にならなかったら、ふれることのできない大阪の人の温かさを感じることができて、とても感謝しています。 ごちそうさまでした。 今日は、とっても充実した1日でした。 おやすみなさい。 …第15話につづく… |