弥彦酒造株式会社
新潟県西蒲原郡弥彦村上泉1830-2
TEL 0256-94-3100 FAX 0256-94-4990
弥彦酒造 泉流醸法授受碑 数百年間わき出ずる清水 昔ながらの桶 和釜の上の甑 手作業による放冷台 越後平野の風物詩、はざ木並木 |
越後「泉流」家元蔵 眼下に日本海と越後平野を一望する越後の名峰・弥彦山。 ここは越後一の宮「弥彦神社」のすぐ脇。片側は弥彦の鎮守の森がうっそうと茂り、また、反対側は越後平野が広々と広がる、まるで弥彦山の懐に抱かれているような場所。その森から伏流水が湧き出る山麓「泉」の地に弥彦酒造はあります。 嘉永元年(1848年)。越後杜氏四派の中の野積杜氏「泉流」という酒造法がここ弥彦酒造で考案されました。 初代当主多賀佐七郎がつくり上げた「泉流」という酒造法は当時としては画期的な酒造法で、佐七郎に師事する門人は数百人に及び、現在の新潟県下の有名蔵の中には、佐七郎より酒造法を学んだ杜氏により築かれた蔵も多いといいます。別名「家元蔵」。 弥彦酒造はまさに“新潟銘醸の元祖”ともいえる蔵なのであり、その奥義を現代まで受け継いでいます。 独自の酒造りを貫いて・・・ 「多く石数を造らず、必ず精醸を期す」 これが初代から受け継いだ家訓。現在の四代目当主多賀友夫さんはその家訓を守り続け、酒造り一筋に打ち込み続けています。自分が納得できる酒を造るために、泉流酒造法と自らの学術的知識により、酒質の設計、管理を行っています。 昭和58年、59年と全国新酒鑑評会で金賞を受賞してから、その出品を止めてしまいまいました。蔵元いわく、「一般の人が飲めない酒に力を入れても何もならない」。以後、あえて吟醸酒を避け、普通酒の最高峰、さらには「米で造った(誰もが気軽に楽しめる)世界に通用する醸造酒」をめざし、年間石数が650石という小蔵であることもあって、そうした肩書きのニーズと一線を画し、吟醸の石数を増やさず、いわゆる普通酒、特に本生を主流に独自の酒造りを貫いてきました。 酒は楽しむためもの それ以上でも、それ以下でもない 「泉流」は「雑味のない、どこまでも透き通った湧き水のような味」を目指しています。近年の華やかな吟香や吟味を基準にしては、その価値は理解しにくいかもしれませんが、先入観を抜きにしてお客様の反応をうかがうと、抜群に評価されるのが弥彦酒造のお酒です。 「酒は楽しませるもの。旨いだけに終わらず、料理の邪魔をせず、飲む人の心を癒し、和ませる酒。この蔵の造っている酒は、それ以上でもそれ以下でもありません。」とは蔵元の言葉。 吟醸酒隆盛の時代。しかし、その反面、酒質の均一化、あるいは「はたして香りの強い吟醸酒は本当に料理に合うのか」という疑問に、昔ながらの酒造法を守り、時代に流されない独自の酒造りを貫いてきた弥彦酒造のような酒が、逆に今、一石を投ずることになるのではないでしょうか。 流行に左右されない。本質を理解し、ずば抜けた品質を理解できる人をして“幻”たらしめた理由のうなずける部分なのかもしれません。 春には花が咲き、夏には蝉が鳴き、秋は紅葉、冬には深々と雪が降る。長い年月がいつものように繰り返す。あくまで自然に、蕩々と、いつまでも造りたてのように。 |