第3話
今回の研修旅行のメインイベント、大宴会が始まりました。アッ!違った。これは、あくまでもお勉強会?どう見ても乾杯風景に見えるでしょうが、違うんです。 メンバーが両手に持ち上げているのは、お酒が1合ずつ入った片口茶碗なのです。メニューにあった1合で出してもらえる日本酒を「上から順番に持ってきて」と言って、注文したのがこれなのです。何という注文の仕方でしょう。正体もあかさずにいたので、お店の人も、変なお客だなあと思ったのではないでしょうか。全部で10種類。全国各地の地酒、飲み比べです。 私たち酒屋といえども、この様な機会はほとんど無く、また、少人数で飲みに行っても、これだけの種類を飲めるはずもなく、みんなこれを楽しみにしていたのです。 では、メニューの順に私たちが飲んだお酒をご紹介しましょう。 |
今回はブラインドテスト、ようするに、銘柄・酒質(どのように造られたお酒か、何のお米を使っているかなど)を隠した状態で試飲をして、それぞれが感じるままにコメントしてもらった感想をまじえてお伝えします。 @醴泉(れいせん) 岐阜県養老 純米酒 使用米・山田錦 特別純米酒並の良い香り。サラッとした飲み口でありながらも深みのある味わい。 Aうきたむ 山形県高畠 無濾過山廃仕込み純米酒 使用米・山田錦 どっしり系。香りは控えめだが味にコクがある。純米酒らしい味わいとコクを持つ。 B金紋会津 福島県会津 純米吟醸原酒 原酒とは思えないほど軽やか。スーとした飲み口。 C越乃白雪(こしのはくせつ) ※お店の人が「こしのしらゆき」と言っていたので、訂正しておきました。だって、当店でも扱っている地元のお酒ですから、これだけは譲れません。 新潟県弥彦 吟醸酒 16〜17度 さらりとした飲み口で、飲み飽きしない。まじめに造り込んだお酒。フルーティな香り。 |
D往馬(いこま) 奈良県往馬 吟醸酒 斗瓶取り 精米歩合50% 17度 使用米・山田錦50% 五百万石50% 味がコク、非常にくせがある。日本酒の赤ワイン(フルボディー)とでも言えそうなほどの、くせ。 E土佐しらぎく 高知県安芸 純米吟醸酒 16〜16.9度 使用米・山田錦50% 日本酒のいいとこ取りをしたようなお酒。フレッシュ感があり、生酒系に感じる。サラッとして、香りがよい。ねかせてあるような旨さがある。上品。 F勢起(せき) 長野県佐久 純米大吟醸酒・袋吊り 精米歩合45% 使用米・山田錦 落ち着きのあるお酒。非常にまとまっている。飲んだ後に残る香りが良い。 G十四代 山形県村山 大吟醸酒 使用米・山田錦 バランスのとれているお酒。甘い。辛口だけど口の中に甘さを感じる。スーとした飲み口の後に甘い。香りが非常に良い。 |
H東一(あずまいち) 佐賀県塩田 純米大吟醸酒 雫搾り斗瓶貯蔵 16〜17度 香りが良く、味がある。モコモコとした感じ。酸味を感じる。甘い。 I瓢月(ひょうげつ) 静岡県 極吟醸酒 精米歩合45% 15〜16度 上品で、非常にバランスのとれているお酒。キレがある。吟醸香がとても強い。新潟の吟醸酒に近い感じがある。 以上、10種類。一気にご紹介してしまいましたが、わかりました?みんなが、好き勝手なことを次から次へと言うもんですから、モー大変!私はというと、飲む物も飲まず、食べる物も食べず、ひたすら皆さんのコメントを逃すまいと、また、お店の人がチラッとだけ見せてくれる酒瓶に書いてある酒質を書き留めようと、メモを片手に大奮闘だったのです。どうです?ちゃんとお勉強してるでしょう。でも、みんなはそろそろ酔っぱらいモードに入ってきています。ところが、まだまだお酒はつづくのです。 …第4話へつづく… |