初めての酒造り体験 取材報告  (by えつこ)

新潟県長岡市  葛g乃川

第 4 話

 続きまして醸造部次長の高橋さんが今日の予定を説明してくださいました。
    
 高橋さんは現在新潟県の清酒学校の講師も兼任されていているということで、見るからに実直な感じのステキなオジサマという方です。
 それはさておいて、今日のメインは麹造りの実体験です。麹の時間的な変化を目で見て、さわってもらって作業をしてもらう。そして、もろみは何日目のどういう状態になっているか見てもらうということになります。
 今年は全部でタンク71本の仕込を行う予定で、今日は65本目のタンクの留(とめ)仕込。これは白米2,800kgを使用。続いて66本目のタンクの添(そえ)仕込。白米2,300kg。そして、前日から造っている同じく66本目の仲(なか)仕込用の麹(1,500kg)造りの作業をやります。
 10時20分に麹を次の工程の製麹機に移さなければなりませんのでその作業から始めます。この作業は米についた麹菌が繁殖するときに熱が発生しますが、その熱で麹菌自体が死なないように温度を調整するために行います。
 作業をするときの注意点として、まず手は作業のたびに洗うこと。作業服は指定の服に着替えること。髪の毛が落ちないようにヘアーキャップをすること。そして、指輪、時計、メガネをはずすことなどの注意をされました。
 衛生には十分注意を払い、そして、製造工程中に異物を混入させないための注意です。発酵途中のタンクに何か落としても水に浮くものなら何とかすくって取ることができますが、沈んでしまうものは取れません。最後の酒粕に混じっている物を取り除くしかありません。そうなった場合は金属のものは酸によってきれいになりますが、使い物になるかどうかは保証できませんよ。ですって。
 それから女性に限らず香水や整髪料などのニオイのするものは麹にニオイが付きますので厳禁とのこと。

 事前にその点は連絡が来ていましたので今回の私はほとんどスッピンで来ていたのです。
 続いてビデオで酒造りの工程のお勉強です。
 女性のレポーターが作業工程にしたがって、その様子を説明してもらう形で進んでいきます。
 タイトルは「水・米・人のハーモニー、清酒吉乃川のできるまで」。この土地は旧・三国街道が敷地を二分している所の説明から始まり、室町時代後期の1548年に、この地で酒造りを始め、450年の歴史を誇る由緒ある酒蔵ということ。
 水はこの地の地下水「天下甘露泉」と命名された酒造りに適したきれいな水。
 続いて米の精米の説明。精米は酒造りに適した米の中心部分のデンプン質の部分を残すためで、洗米、浸漬と工程は進み、次に米を蒸すわけですが、その特徴として「外硬内軟」を良とし、麹菌が蒸し米の内部に入り込みやすい蒸し方が良いとされているそうです。
 蒸し米に麹菌を付けた後、麹室で丸1日、約30度Cの温度管理に気をつけて麹菌の繁殖を待ちます。
 翌日は前出の、ここ吉乃川で開発された自動製麹機(中越式自動製麹機)に移してさらに丸1日麹菌の繁殖をさせます。この機械のおかげで麹の量産ができるようになったという優れものなのだそうです。麹菌が米の内部に入り込むと「突き破精(はぜ)麹」となります。これは握ると弾力があり、米粒がパラパラと分かれるようになります。この段階での麹は香りは少なく、口に入れて噛むと甘味を感じるようになるそうです。
 麹ができると次はお酒の元となる「酒母」を造ります。「酒母」は麹と酵母と水から造られ、小さなタンクで暖めたり、冷ましたりしながら大切に酵母の増殖を待ち、約2週間かけてお酒の元を造ります。
 発酵途中では温度を平均に保つために、「櫂(かい)入れ」の作業をします。櫂とは長い棒の先に小さな板がついたような形でタンクの中でお米をつぶさないように櫂でかき混ぜ、発酵のお手伝いをするわけです。
 続いてビデオは発酵の経過に伴う酒母の香りや味について説明しています。
    …第5話につづく…

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