初めての酒造り体験 取材報告  (by えつこ)

新潟県長岡市  葛g乃川

第 7 話

 2.精米について
 玄米を削ることを精米といいます。日本酒を造るにあたって、余分な成分は玄米の外側に多く含まれています。そのため、酒造りに使用されるお米は、なるべくお米の中心部分を使用するようにします。
 精米がどのようにして行われるかというと、簡単に言うとお米が精米機の中でお互いに擦れ合って削られていきます。この時、お米の回転と圧力(負荷)の2つをコントロールしながら行われます。
 お米は回転が高くなると長さ方向がよく削れ、極端に言うと球になるように削られていきます。
 これでは厚さ方向はほとんど削られないので、厚さ方向の不要成分が多く残ってしまいます。
 次に負荷が高いとどのように削られるか考えると、イメージとして満員電車の中のような状態で米が擦れて削られることになります。
 これでは厚さと幅がよく削られ、長さ方向の不要成分が多く残ってしまいます。
 玄米の不要成分を効率よく除去するには厚さ・幅・長さ方向が均等に削られることが重要になります。精米機の回転と負荷をうまくコントロールして、どの方向も均等に削る精米技術は出来上がった白米が若干平べったくなるので「扁平精米」と言われています。ここ「吉乃川」では、この扁平精米にこだわっています。
 3.胴割れ・砕米
 精米が進み、精米歩合が下がってくると、摩擦熱による乾燥や、お米自体にかかる負荷により、お米が砕けやすくなります。精米中に砕けたお米は砕米(さいまい)と言います。砕米は小さなものはヌカと一緒に除去され、大きなものは白米中に残ります。
 白米に残った砕米は不均一な精米をされるため、酒造りに不要な成分が残ってしまう要因となります。また、精米歩合は全体重量が何%まで減ったかを見ているために、ヌカと一緒に破砕された砕米の重量も精米されたと見なされます。

 極端な例で例えると、精米歩合60%のお米を得たい場合、精米を始めた直後に40%のお米が砕けて無くなってしまえば、見かけ精米歩合は60%になりますが、お米1粒あたりで見ますとほとんど削られていないので、真の精米歩合は100%になります。
 このようなお米は、酒造りに不要な成分が多くなります。良好な清酒を製造するには、極力、砕米を減らし、お米の中の不要成分を適切に取り除くことが重要になります。
 また、砕米になる確率は玄米自体の素性に左右されます。特にお米の中に断面ができている米粒を「胴割れ粒」といい、精米時に砕米となる可能性が高くなります。
 玄米の胴割れは、お米の育成途中の気象条件や刈り込み時期、追い肥、玄米の乾燥速度などの様々な要因によって発生します。
 「吉乃川」では蔵人および地元の農家の方々と共に、より酒造りに適した酒造好適米「五百万石」を大切に育てています。
 蔵人栽培米をはじめとする「吉乃川」の「五百万石」は、田植え直後から個人の圃場に合わせた指導を育成期全般について行い、適期適量の施肥管理と、適期刈り込み、急がない乾燥などにより、胴割れの少ない、大粒で均質な原料米を得るように心がけています。
 いかがでしたでしょうか?付いてきて頂けましたか?
 次にお米は洗米の工程に移ります。
2週間の「枯らし」を終えたお米はホッパーに入れられてお米を洗う機械「洗米機」の中に入ります。ここではお米に付いているヌカをきれいに洗って、流水と一緒に隣にある鉄筋3階建ての醸造蔵「昌和蔵」にすみやかに流れていきます。
    …第8話につづく…

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