初めての酒造り体験 取材報告  (by えつこ)

新潟県長岡市  吉乃川

第 16 話

 お酒の仕込は「添」「仲」「留」の3回にわたって行うので一般に「三段仕込」と呼ばれています。
 また、「四段仕込」とは更にもう一回仕込み回数を増やすことで、昔は主にもち米を使って、甘口のお酒を造るときに使われた手法ですが、現在では辛口のお酒でも仕込み回数を表すために使われているようです。
 日本酒は世界でも最も複雑で高度な発酵技術を使って、造られているお酒です。その造り方は「並行複発酵」と呼ばれ、麹によるデンプンを糖に変える「糖化」と酵母による糖をアルコールに変える「発酵」を同じタンクで同時に行う、最も複雑な発酵技術なのです。
 例えばワインはブドウの中の糖を酵母の働きでアルコールに変える「単発酵」。ビールは大麦のデンプンを麦芽酵素により糖に変え、それから甘い麦汁を酵母でアルコールに変える「複発酵」。ウイスキーや焼酎なども穀物を糖化してから発酵させ、さらに蒸留してお酒を造ります。
 他のお酒はそれぞれ1つずつ段階を踏みますが、日本酒は全て一緒にやってしまうという、すごいことをやっているのです。
 最後に、ここ「吉乃川」は昔から別称「吟醸蔵」と呼ばれ、吟醸造りを基本に据えた酒造りにこだわっていると言う事。それが長期低温発酵の吟醸酒「極上・吉乃川」のすばらしさに受け継がれていますと締めくくられています。
 長い午前中の作業も終わり、ようやくお昼です。近所の魚屋さんから届いたお弁当をいただき、しばらくお休みです。
 この時間を利用して、このゲストハウス「瓢亭」についてご紹介しましょう。ここ、「吉乃川」では一般の方も酒蔵見学を受け入れています。事前予約をしなければなりませんが、予約電話番号は0258-35-3000です。休館日は年末年始、水曜日、日曜祭日。見学所要時間は1時間、見学スタートは午前10時、午後1時、午後3時の3回です。
 見学終了後には利き酒コーナーもありますので試飲もできます。また、この「瓢亭」でしか売っていない、その名も瓢亭という本醸造生原酒も販売しています。もちろんそれだけではなく「吉乃川」の主なお酒も販売しています。

 さて、昼休みも終わり、午後の作業の開始です。
 全員先程の昌和蔵2階のフロアーに戻り、また手洗い、消毒から始めます。
 今度は蒸米機がごう音を立てて動いています。
    
 写真の機械が蒸米機です。この奥の方からお米が入れられ、手前に向かって網状のベルトで運ばれてくる間に蒸気の力でお米を蒸す仕組みです。お米を投入してから蒸し米として出てくるまで約40分かかるそうです。
 この機械はベルトの移動速度や蒸気の強さでお米の蒸し加減を調整します。
 ちなみに麹米はしっかり蒸して柔らかめにして麹菌がお米の中まで繁殖し易いようにしますが、掛米は仕込の時にお米が早く溶けすぎないように少し硬めに蒸すそうです。
    
 湯気がモウモウと立っていて、見えにくいかも知れませんが白くぼやけて見えるのが蒸し米です。
 この後、高級酒用の蒸し米は飯台で広げて自然に冷やされますが、それ以外は放冷機という機械で強制的に風をあてて冷やします。
 この機械が放冷機です。蒸し米がこの機械に移され、網状のベルトの上で風を当てながら冷やされ、手前の方に運ばれてきます。
     
 私も写っていますが私の身長より低いわけではありません。上から見られるように段を上って見ているのです。
 あれ?機械の上で何か作業をしていますね。種付け(麹菌を振りかける)をしているようです。
    …第17話につづく…

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