初めての「きき酒会」 取材報告  (by えつこ)

越乃白銀会主催 きき酒会

第 3 話

主人は真剣に自分の世界に入っているようです。会話もありません。それでは私は主人の邪魔をしないように、あくまで自分の判断でやってみたいと思います。よし、頑張るぞ!
まずは名前の付いている7種類を順に試していきます。それでは1種類目からスタートです。ゴクリ、あっ、しまった。喉の渇きもあり、いつもの癖でついついしっかりと飲んでしまいました。全部飲んでいたら、酔っぱらってしまい、とても利き酒になどならないところでした。それではもう一度、今度はグラスに注いだお酒の香りをまずきいて、その次は口の中に軽く含み、口の色々な部分で味を確かめてみました。フーン…ちょっとわかったような顔をして?(ポーズだけなのですが)今度は飲み込まず、吐き出しました。
1種類目は生酒からスタートしたのですが、「これはわかる。こんなに香りが立って、フレッシュなのは生酒しかないよね。簡単なもんじゃん。」
2種類目はパック酒。「意外といけるけど、やっぱりちょっと薄っぺらな感じがするな。」3種類目は普通酒。「うん、慣れ親しんだこの味。」4種類目は原酒。「これはもうアルコール度数が違うんだから解らないはずがないよね。」5種類目は本醸造酒。「香り、味ともにまろやかで落ち着いた感じかな。」6種類目は純米酒。「純米酒はその独特の純米臭さがあるから、とてもわかりやすい。」そして最後の7種類目は大吟醸酒。「これが解らないはずがないでしょう。すばらしい香りと口に含んだときのフルーティな味わい。他のものと間違えようがないよね。」以上、名前の付いた7種類を試している時には、このように自信満々な私で、心の中では「もしかして全問正解だったらどうしよう。表彰なんかされちゃったりして。」などと、何とも図々しい、あさはかな事を考えていたのでした。
ところが、次のテーブルに移動して、アルファベットの記号しかついていない7種類のお酒の方に行った私は、ガーン、打ちのめされてしまうのでした。

こちらのテーブルでは、Gの記号のお酒からスタートしました。先ほどと同じように、まずは香りから聞いてみたのですが、アレ?何だっけこれ。そして口に含んでまたしても、アレ?何何々。エーどうしよう全然わからない。もうこのスタートからパニックです。たった今までのあの自信はどこに行ってしまったのでしょうか。でも気を取り直して、次に進んでいけばすぐに解るはずと思って、Fの記号に移動。…ダメです。大吟醸酒なのか普通酒なのかも解りません。気持ちはどんどん焦ってきますが、全く解らないのです。7種類全て終わっても、確信の持てる物など一つも無く、冷や汗ものです。名前の付いている物の時は解ったようなつもりでいたのですが、それは大きな勘違いだったようです。まだまだ未熟者なのだということが、はっきりわかりました。トホホ、お恥ずかしい限りです。そこで、ここは頼りになる主人(こんな時だけ)に相談しようと近くに行ってみるのですが、主人は真剣そのもの。とても声など掛けられるような雰囲気ではないのです。私は諦めて、全く自信のない回答用紙を提出するはめになってしまいました。 いいわけをするつもりではありませんが、一緒に連れて行った赤ちゃんのミルクの時間がきていたので、それも気になっていたのです。きき酒の最中はベビーカーでじっと待っていてくれました。早めにきき酒を終わった人達は用紙を提出してロビーに出て行きます。
主人はというと、まだ頑張っているようです。私と赤ちゃんがロビーに出てみると一緒に行った友人たちは、とっくにソファーに座ってくつろいでいます。
    
この後の予定は懇親会。その前に赤ちゃんのミルクタイム。
    
離乳食の鳥のささみのすりつぶし、カボチャペースト、お粥、そしてミルクとフルコースです。
    …第4話につづく…

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