(by えつこ)
長岡市 株式会社 越のむらさき
第 5 話
続いてこれは1年間熟成して、あとは絞っておしょうゆになるのを待っているタンクです。表面の色は明るいこげ茶色で発酵が終了しているため、もう泡は出ていません。 3つ目のタンクは再仕込しょうゆ用のもろみで1年かけて造ったもろみをもう一度仕込に使い2度仕込みをしている状態です。色はさらに濃いこげ茶色で表面は少し硬そうに見えます。香りは発酵が進むにつれておしょうゆの香ばしい香りがだんだん強くまた、重くなっていき、熟成により円熟味のある奥深い香りに変わっていくようでした。 発酵が盛んなときは、ふつふつと盛んに泡が立ち、その静かな響きが心を癒してくれるので「蔵の中でもここが一番好きなんですよ」と広井さんは言っていました。次はいよいよ「しぼり」です。 |
次は「しぼり」です。案内されて入ってきたこの部屋には圧搾機が10数台も、ところ狭しと並んでいてタイプもいろいろ。 人が横になって入れるくらいの浴槽タイプのものや真四角のものまで。 手順はまず、もろみを麻でできた布に入れてたたんでいきます。それを4列で何段にも積み重ねていきます。上から油圧プレスで押すことによりおしょうゆが絞られて出てきます。最後は4列を1列にまとめて重ねて絞るのだそうです。 ここでも日本酒のようにこの浴槽のような入れ物を槽(ふね)と呼び、しぼりのことを「槽(ふね)かけ」と言うのだそうです。 絞ったあとのカスは黒い板状になっていてちょうど建築用の外壁下地ボードのようでした。 丸大豆のもろみだと約25%がカスとなっていまい通常の原料に比べてどうしてもコスト高になるそうです。日本酒のようにカスの有効な利用法はないのですかと訊ねたら産業廃棄物にしかならないとのこと。でも、原料となる大豆や小麦、それから工場の人たちのいろいろ手間のかかる作業を見てきたせいか何かもったいないような気がしました。 …第6話に続く… |