おいしいしょうゆ蔵取材報告 (by えつこ)

長岡市   株式会社 越のむらさき

第 6 話

かけによって搾られたおしょうゆのことを生揚げ(きあげ)と言うのだそうです。この状態ではまだ製品にはなりません。次の工程は「火入れ」と言って加熱して色・香・味をととのえる作業があります。
   
ちょっと写真が暗くてパイプしか見えないかもしれませんが、これがその機械です。この機械はいわゆるスチーム式熱交換器で、二重構造になったパイプの中におしょうゆと熱い蒸気を同時に通すことにより、蒸気の熱をおしょうゆに移して、急速に加熱する仕組みなのだそうです。
加熱されたおしょうゆはパイプを通って隣の部屋の大きなタンクへと移されます。
    
ここに入ってくると、たった今火入れをしたばかりのおしょうゆのいい香りが漂ってきます。おしょうゆは火入れをすることによって、火香(ひが)が付き、香の深みを増すのだそうです。そして火入れを終えたばかりのおしょうゆが入ったタンクは近づいただけで熱さを感じます。
    
冬の寒いときは、このタンクに抱きつくと、すごーく温かくて気持ちがいいと広井さんが言っていました。

ンクのまわりの足場に掛けられた急な梯子に登って、そのタンクの中を覗いてみました。
   
私の左側に写っているブルーの物体は火入れによって熱せられたおしょうゆの熱を早く逃がすために撹拌しているモーターです。タンクの開口部からは湯気がもうもうと上がっています。通常火入れ温度は濃口しようゆで85度、薄口しょうゆで83度なのだそうですが、一気にそこまで加熱したら、今度は一気に冷まして熱による変質を防ぐのだそうです。
    
湯気をかき分けるとその水面が見えてきました。黒に近いこげ茶色の液体の所に、撹拌によってできた渦が見えています。顔をグッと近づけて香りをきくと、もろみの時とはまた違った深く、丸味のある独特の香りを感じることができました。香ばしくておいしそうなにおいです。
この気持ちは日本人にしか解らないでしょうね。ついでにちょっぴり味見をさせてもらいました。「うわっ しょっぱい」おしょうゆは飲むものではありません。味見をするときは少しだけ口に含んで、唾液で薄めながら色・香・味をみるのだそうです。
     …第7話につづく…

第5話にもどる      第7話にすすむ