最新設備の酒蔵 取材報告  (by えつこ)

新潟県新潟市  高野酒造

第 4 話

 次は隣にあるビュレットです。これは主に酸性やアルカリ性の液体の中和点を測定するときに使われる器具です。
       
 お酒は様々な酸が含まれています。その酸をアルカリ溶液で中和することによりどれだけの酸が含まれているのかを計測します。
    
 実際に研究員の楊さんがその器具を使ってお酒の中和実験をやって見せてくれました。
 滴下するのは10%水酸化ナトリウム水溶液で指示薬は混合指示薬を使います。この指示薬は酸性では赤、アルカリ性では青、中性では淡緑色になります。
     
 その他にもお酒の中のアミノ酸を分析するときにはフェノールフタレインを指示薬に中性ホルマリンを使った検査方法を使います。
     
 これは「浮ひょう」といい、奥の方がアルコール度数を測る「浮き」で、手前はお酒の甘辛(日本酒度)をはかる「浮き」(日本酒度計)です。
お酒の甘辛を表す目安としての日本酒度は主にお酒の中の糖分でお酒の比重が変わるために、このような「浮き」を使って調べます。水の比重を0としてアルコールが多いと比重が軽くなるので+(プラス)の方へ、また、糖分が多いと比重が重くなるので−(マイナス)の目盛りで表示されます。
 使い方は直接お酒や液体に浮かべて、「浮き」に付いている目盛りを読みとることで計測します。

 次に反対側の壁際にも検査機器が並んでいます。奥の方の機械から見てみましょう。
 お酒の香気成分を調べるには通称ガスクロ(ガスクロマトグラフィー)という機械を使います。
 この機械は液体の中に含まれている微量物質の種類と含有量を測定します。
    
 機械の上部正面に液体注入のための小さな穴が開いています。
 そこに注射器で静かに一定の速度で検査する液体を注入します。
 すると分析結果が右のプリンターからグラフとなって出てくるのです。
 また、その手前には液体の色を検査する比色計がありました。
    
 さすがにこの機械は使った事がありませんので説明は省略させて頂きます。 
 さて、検査機器としてはこんなところでしょうか?でも他にも機械があります。ついでですからもう少しアカデミックに続けたいと思います。
 先程の実験器具の近くに冷蔵庫があり、白井杜氏が中から何か取り出すようです。
     
それでは皆さんにあまり見ることの出来ないめずらしいものをお見せしましょうと出してくれたのは、こちらの蔵で使っている自社培養の酵母菌です。
      
 試験管の中に寒天培地があり、その表面に糸くずのようなものが付いています。
 これが自製S3酵母です。この酵母が優れものなのです。

    …第5話につづく…

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