始めてのビール工場 取材報告 (BY えつこ)

第1話 (大江戸漫遊記 第6話)

 11月17日。日曜日。ここは東京都府中市。京王線・分倍河原駅からバスに乗ること5分程度で目的地のサントリー武蔵野ビール工場に到着。
      
えつこの初めてシリーズ・ビール工場編の始まりです。
ここ武蔵野ビール工場はサントリーとして初めて出来たビール工場で1963年に醸造を開始したそうです。
それでは早速取材を始めましょう。
まず全員が映写室に通されます。そこでビールのイメージビデオが5分間くらい流れます。てっきりサントリービールの宣伝かまたは製造工程の説明かと思ってそれにしてはイメージの映像が長いな、何が言いたいのかな、と思っていたらビデオが終わってしまいました。何だったんでしょう。まっいいか。それではいよいよ工場の中を見学します。
そこから建物の3階に上がると渡り廊下になっていて、隣の工場の3階に移ります。入るとそこはホールになっていて、ビールの原料から説明が始まりました。まずビールの原料としては2条大麦が使われているということ。たしかこの麦はウイスキーの製造にも使われていたはず。本来6条の麦を品種改良し2条の麦を大きくして原料として有効に使えるようにした麦のことですね。この2条大麦は粒が大きくデンプン質を多く含むため、ビール造りに使われるとのこと。実際にショーケースに実物が展示してありました。
    
ちょっと写真が小さくてわかりにくいので左がパンフレットに載っていた大麦の写真です。それでは製造工程順にお伝えしましょう。


 1.精麦−麦から「麦芽」をつくる
2条大麦は十分な水と空気と適度な温度を与えて発芽させます。この時麦の中には、後にデンプンを糖に変える役目を果たす「デンプン分解酵素」などがつくられます。適度に芽が出たら温風によって乾燥させ、発芽を止めます。この時麦には、芳ばしい香りと黄金色がつきます。その後根を取り除きます。こうして自然の恵みの麦から、まず「麦芽」がつくられます。この工程を「精麦」といいます。ちょうどその精麦が済んだ麦がありましたので少し手にとって食べてみました。
     
たしかに芳ばしい味がします。少々殻が口の中に残り、邪魔になりますが十分に食べられます。オイシイ。
 2.仕込み−麦芽から麦汁をつくる
麦芽を細かく粉砕して水(天然水)を加え、適度な温度にすると、先ほどのデンプン分解酵素の働きで、麦芽中のデンプンが糖に分解されます。
更に、その液に「ホップ」を加えて煮沸させると、ホップ特有の香りと苦味をもった甘い麦のジュース「麦汁」が出来ます。
    
ホップはツタのように生える植物の実で畑では支柱を立ててそれに添って高く、からみつくように栽培されます。
    
このビールの原料として使われるホップは、受粉前のメス株が持つ毬花(きゅうか)です。その中に眠る黄金色の粉「ルプリン」が、ビールに独特の香り、苦味、泡立ちを加えます。つまり麦芽の旨味成分や泡持ちを良くする「泡たんぱく」を十分に引き出してやる必要があるわけです。
     …第7話へつづく…

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