第10話

 皆さん、憶えていますか?大江戸漫遊記の担当は僕「ケイタ」です。まだ生後9ヶ月ですが執事パパと乳母ママを従えて漫遊記の続編です。
サントリーのビール工場は見学コースに階段がたくさんあるということでマイチェアは折り畳んでしまい、僕は乳母ママにダッコをされて一緒にお勉強をしていました。
でも、途中でつまらなくなってきたので思わず居眠りをしてしまいました。乳母ママは一生懸命にメモを取りながら説明を聞いていたようですが皆さんのお役に立ちましたでしょうか?
さて、黄色いバスに乗り、先ほどの京王線・分倍河原駅に着きました。ふと見ると、そのロータリーの真ん中に何か銅像が建っています。武士が馬に乗っている銅像です。
これは新田義貞の銅像と書いてありました。新田義貞といえば足利尊氏と並んで昔の関東地方の源氏の頭領ではなかったでしょうか。その銅像がなぜこんなところに?
 裏に回って何か書いてあります。なになに。ここ分倍河原では1333年(元弘3年)5月15日16日の2日間にわたって分倍河原の合戦が行われた。この戦いで新田義貞は鎌倉幕府の北条泰家を破り、そのまま鎌倉に攻め入り、幕府を滅亡させた。と書いてありました。その後歴史が示すように足利尊氏が室町幕府をつくることになるわけですが、思わぬ所で歴史的な事実を知ることになってしまい、時間が違えばここで歴史が動いていたのだと一瞬、空想に耽ってしまいました。
当時はこのあたりは原野で何もない場所だったはずです。そこに僕がいる。僕が生まれる数百年前の歴史に感慨深い気持ちがしました。
さて、今日は朝食が比較的ゆっくりだったのでこのまま電車で新宿まで戻り、お昼にしようということになりました。駅に着くとどこで食べようかと色々物色。でも僕も昼食時間だったので皆さんとちょっと別行動。乳母ママはデパートのベビー用品売場を上手に利用します。そこには必ず授乳室がありそこで僕のお世話をしてくれるのです。


 今回も駅に着くとさっそく授乳室へ直行です。その間に執事たちがお昼をどこで食べるのかを決めて順番を取るために並んで待っているのです。僕はお昼の離乳食を暖めてもらい食べさせてもらいます。そして、その後にミルクです。そうしている間に執事パパから携帯に電話が入りお昼を食べる店の名前と場所、そして注文をしておくとの連絡がありました。僕も急いで食事を済ませ、協力します。いつものように食事は完食。満足、満足。すると一目散に執事パパ達が昼食を食べているお店に直行。お店の名前は「つな八」という天ぷらやさんです。
みんなは軽めにということで天丼を食べているようです。執事パパがママの食事も注文してくれていて準備してありました。僕はじっとお利口さんにして、みんなが食べるのを待っています。それにしてもいつも食べ物を前にするといい顔をしていますね、僕の乳母ママは。
ショーウインドーの見本の天ぷらとずいぶん大きさが違うなと話しながらお昼も終わり、次の視察地は東京の大規模再開発の先駆けとなった東京駅丸の内正面の丸ビルです。
    
そのころ僕はお腹もふくれてお昼寝タイム。せっかくの東京駅も夢の中。丸ビルも全然わかりません。
なんでも、地上36階、地下1階のビルで地下から4階まではショッピングゾーン、5,6階はレストランゾーン、7,8階はインタラクティブゾーンといってホールやビジネス用のミーティングルームなどがあり、9〜34階はビジネスゾーン、35,36階はまたレストランゾーンになっているようです。でもどこも人でいっぱい。とても一つ一つ見ているわけにはいきません。だって今日は日曜日ですもの。
     …第11話へつづく…

第9話にもどる         第11話につづく