こだわりの酒蔵見学 取材報告 第2話  【by Etuko】

弥彦村 弥彦酒造株式会社

 見学のスタートです。
仕込の順に
ご案内いたしましょう。
 初にお米を精米機にかけて、お米の外側を削り落とします。お米の外側は脂肪やタンパク質などが多く、お酒にすると雑味がでるために取り除くのだそうです。お酒造りにはお米の中心のデンプン質の部分だけを使います。
 そして次の段階が、この写真の調湿機です。これはこの酒蔵独自の物で、精米時の熱によって乾燥してしまったお米に、中心部まで適度な水分を吸わせるための機械なのですが、これが何とこの蔵の会長さんの自作の機械というからビックリです。他の蔵ではまねの出来ない、こだわりの部分です。この機械の中は温度が一定に保たれ、超音波加湿器によって蒸気を循環させて、後の工程の浸漬で水分を調整しやすいようにするのだそうです。



 下に掛けてあったのは竹で編んだざる。これでお米を洗います。案内して下さった大井さん曰く、「極寒の日に冷たい水で洗うこの作業が一番辛い仕事」なのだそうです。
 お米はこの後左の写真にある、大きな木の桶に入れられて、浸漬の工程になります。
 浸漬とは次の工程の蒸す作業の前にお米を冷水に漬けて水分を含ませる事ですが、こちらでは優れた調湿機のおかげでお米の中心部まで思い通りに水分調整が、出来るのだそうです。
 昔のお風呂のような大きな桶がゴロゴロと転がっていますが全てカラ。中のお米はどこに行ってしまったの?


 「シュー」そうです。この音は、前回の蔵見学でも聞いた音。なーんだ、お米はもうこの甑(こしき)の中で蒸されていたのです。
 こちらでは和釜を使用。毎年作り替える釜戸の中は、強力なバーナーの炎が充満しているようで、扉の隙間からはときおり火が見えていました。
 間もなく蒸し上がるようで、ものすごい蒸気で甑をおおった布が膨れてきました。




 し上がったお米は〈掘出し〉の工程に移ります。
 大きな甑の縁に足場を固定して、スコップで蒸米を掘り出します。それをお櫃のような木の桶に小分けして、肩に担いで放冷機へ運びます。まさに人海戦術!
 この日の蒸米は3種類で、最初に掘り出されたのは麹造りの為のお米。
 2番目は、初添(はつぞえ)用。最後は仲添(なかぞえ)用となっており、それぞれお米の品種が違ったり、精米歩合が違ったりしていました。
 そこで、3種類の違いを見ようという名目で、少しずつつまんでは、前回覚えた‘ひねり餅’を作りパクリ…
 皆さん忙しそうに働いているのに、つまみ食いばかりでゴメンナサイ
             …第3話へつづく…

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